ギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相は、困難な日々と厳しい夏はまだ続くと述べた。英紙タイムズによれば、ギリシャ全土で山火事が相次いでおり、23日だけで64件の火災が発生、270人以上の消防士が消火活動に当たった。今月に入ってからの延焼面積は2万9000ヘクタールを超えたが、これは平年の2.5倍に相当する。端的に言ってギリシャの山火事史上、最悪の7月となっている。
他の南欧の観光地も、うだるような猛暑が続いている。今週はローマで40度超を観測したほか、多くの国で平年を大幅に上回る気温となった。ギリシャでは2021年時点で観光業が国内総生産(GDP)の14%以上を占めており、旅行者が欧州北部へと行き先を変更すれば、甚大な影響を受けることとなる。
一方、英国では、ジェット気流の影響で大西洋から吹き込む涼しい風が、欧州の熱波から沿岸部を守っている。南部ブライトンの海岸は気温22度と比較的穏やかな天候で、行楽客の姿が引きも切らない。
欧州旅行委員会は、今夏の地中海地域への旅行予約は10%減少したと発表した。今後さらに多くの人が、過ごしやすい英国のビーチや欧州北部の国々へ向かうとみられる。
実際、イングランド南岸の避暑地は今年、どこも大勢の旅行者でにぎわっている。かつて英国王ジョージ5世お気に入りの保養地だったボグナーリージスなどは、1930年代以降はすっかり衰退してしまっていたが、今年は予約が100%増加した。