そう語るのは、地経学研究所を開設した国際文化会館の理事長を務める近藤正晃ジェームスだ。 一般的なGXといえば、脱炭素社会に向けた取り組みである「グリーン・トランスフォーメーション」だが、内閣府参与やTwitter本社副社長・日本会長などを歴任し、国内外の政策やテックビジネスに精通する近藤が言う、もうひとつのGXのGは「ジオエコノミクス」を指す。
企業は経済合理性だけでなく、地経学リスクに対する備えと対処の能力を身につけて企業活動を行う、そんなトランスフォーメーションが必要になるというのだ。 その先導役を育てるべく、地経学研究所のCGO(チーフ・ジオエコノミクス・オフィサー)の養成プログラムには、約10社の「CGO候補」が集まり、10回の講義と受講者同士のディスカッションを受けて地経学的リスクへの備えとその対処能力を身につけている。
地経学の基本から多岐にわたるテーマについて理解を深め、最後に机上演習を行う。 「地政学が大きく変化する時代こそ、新しいビジネス・リーダーが生まれる機会です。実際、米中対立を背景に台頭した新しいスタートアップなどのプレイヤーが増えています。この大きなパラダイムシフトが起きるときに、目には見えない、地政学と経済をかけ合わせた地経学を可視化してビジネスを率いるリーダーを日本でも育てていくことが重要です」
近藤正晃ジェームス◎慶應義塾大学経済学部卒、ハーバード経営大学院修了。内閣官房参事官・内閣府本府参与を経て、アジア・パシフィック・イニシアティブ専務理事、国際文化会館理事長を務める。