帝国データバングの物価高倒産についての調査・分析によりますと、2023年上半期における倒産件数は4006件あり、そのうち仕入れ価格の上昇や価格転嫁できないことに起因した物価高倒産が375件と、すでに2022年通年を上回っており、過去最多を更新しています。
これは、同年同期から4倍超の水準で、2022年通年の320件をすでに上回っているとのこと。月別に見てみると、4月に単月で過去最多となる75件発生しており、5月が67件、6月が63件とやや下がっているものの、今後も予断を許さない状況となっています。
業種別に見てみると、最多は建設業で83件。続いて製造業の79件、運輸・通信の58件となっており、小売業では2022年上半期で発生がなかった飲食店の倒産が目立っているとのことです。
物価高倒産の要因としては、原材料によるものが34.1%で最多となっていますが、原油高などによるエネルギー(29.9%)と合わせて前年同期より割合が下回っています。一方で包装・資材が27.5%、人件費が15.2%で前年同期より大幅に割合が上がっており、物価高倒産の要因がモノからサービスへと変化しているとのこと。人件費や電気代などを中心としたサービス価格のコスト増は、なかなか価格転嫁しづらく倒産を引き起こす遠因になっているとしています。
物価高倒産というと、真っ先に原材料価格の高騰のことが思い浮かびますが、人件費もそうした要因になる可能性があるということで、需要が急回復している運輸業や飲食店、宿泊業などでは、今後難しい経営判断が必要になるかもしれません。
出典:帝国データバング「物価高倒産」より