米アウトドア誌アウトサイドが所有するサイクリングメディアのVeloによると、8日には、レースに注意を払っていなかった観客がコースに接近したことからクラッシュが起き、13位につけていたベルギーのステフ・クラスが臀部と肘に深刻な打撲傷を負い、ツール初週での棄権を強いられた。
このクラッシュにより、4位と11位につけていた英国のサイモン・イェーツとスペインのミケル・ランダが失速し、ともに約47秒のタイムロスを喫した。2人は、このクラッシュが起こるまでは、今大会で上位に入る可能性が高いとみられていた。
クラスはツイッターへの投稿で、「観客が道路に1メートル以上乗り出して、選手が来ても動かないなら、家にいるべきだ。選手に対する敬意がない。罪悪感を持ってほしい! 私はあなたのせいでツールを去らなければならない」と憤った。
9日には、観客による2つ目のアクシデントが発生。EuroSportの報道によると、観客が棒につけて振っていたユニフォームに、フランスのリリアン・カルメジャーヌが巻き込まれて転倒した。カルメジャーヌはその後、巻き返しに成功。カルメジャーヌのチームはツイッターへの投稿で、レースを続行するとした上で、ファンに対して「選手が近づいてきたら気をつけて」と呼びかけた。
ツール・ド・フランスでは観客が引き起こすクラッシュは珍しくない。主催者は今年の大会前にビデオを公開し、観客に向けた事故防止策として、会場では子供をしっかり見張ることや、選手と一緒に走らないこと、「選手の努力を尊重する」ことを呼びかけている。
2021年には、プラカードを手にした観客の女性が、走行中の選手の集団に背を向けて道路端に立ったことでクラッシュが起き、選手のほぼ全員と一部の観客が巻き込まれた。これにより選手2人が棄権し、8人が負傷。BBCが報じたところによると、女性は後に約1300ドル(約18万円)の罰金を科された他、ネット上で嫌がらせを受けた。
(forbes.com 原文)