宇宙

2023.07.09

NASA太陽探査機、地球からの距離の94%まで接近

太陽大気に進入するパーカー・ソーラー・プローブの想像図(NASA)

前回の太陽フライバイ(接近通過)で太陽風をめぐる新たな謎をひも解いたばかりの米航空宇宙局(NASA)の太陽探査機パーカー・ソーラー・プローブが、新たな太陽フライバイに成功した。

NASAによると、同探査機は6月27日、時速61万kmで飛行しながら、太陽表面からわずか900万kmまで接近した。これは地球・太陽間の距離である約1億5000万kmの94%近くまで到達したことを意味している。2018年8月18日に打ち上げられた同探査機による太陽フライバイは、今回が16回目だ。

宇宙天気を予測する

パーカーの任務は、太陽風(太陽から吹き出し太陽系全体に浸透している粒子の流れ)を生み出す高エネルギー粒子の起源を探ることだ。太陽風が消滅する地点は事実上、太陽系の縁、すなわち星間空間の始まりとなる。

パーカーが太陽風の起源を解明できれば、太陽系物理学の理解が深まり、宇宙の天気をより正確に予測できるようになると期待されている。

太陽風の荷電粒子が地球大気に衝突すると、美しいオーロラを生み出す一方で、電波障害や人工衛星の劣化の原因となる。太陽風は宇宙飛行士や電力網に悪影響を及ぼす他、極端なケースではインターネットの障害を生む可能性もある。

パーカーの次の挑戦は、8月21日の金星フライバイだ。計7回行う金星接近のうちの6回目で、太陽にさらに近づくために行われる重要なものだ。2023年9月27日に予定されている次の太陽フライバイでは、太陽表面からわずか約760万km以内に接近する。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫・編集=遠藤宗生

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