「爆発物設置」めぐり緊迫
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は4日の演説で、ザポリージャ原発で複数の発電施設の屋根に「爆発物らしきもの」が確認されたと述べ、ロシア軍が原発に対する「攻撃のシミュレーション」を企てている可能性があるとの見方を示した。ゼレンスキーはザポリージャ原発を戦闘に巻き込んではならないと警告し、同原発は「いかなる放射線事故からも完全に保護されなくてはならない」と強調。「放射性物質は世界のすべての人にとっての脅威だ」と訴え、「ザポリージャ原発に危険をもたらす存在はロシア以外にない」とも断じた。
一方、AP通信によるとロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は5日、ザポリージャ原発ではウクライナによる「破壊工作の脅威」があると主張。それによって「破滅的な」結果がもたらされるおそれがあるとも言及した。
ロシア国営のタス通信によれば、同国の原子力企業ロスエネルゴアトムのレナト・カルチャー顧問は4日、ウクライナが「放射性廃棄物を詰め込んだ」爆発物で5日にザポリージャ原発を攻撃することを計画していると主張。ゼレンスキーの発言を「ばかげている」と否定し、「わたしたちがなぜそんなところに爆発物を必要とするのか」とも述べた。
米シンクタンクの戦争研究所(ISW)は、ロシアがザポリージャ原発を攻撃する「可能性は低い」と分析している。ロシアについては、ウクライナが原発周辺で「無責任な行動」をとっていると非難することに主眼があるとも推測している。