先端技術で生体情報の可視化を行うWINフロンティアと、心理学と統計学を活用する総合マーケティング企業シタシオンジャパンは、「ゲームアプリ実施中の生体反応とコンテンツ評価・継続プレイ意向に関する検証」という共同実験を行いました。ヘビープレイヤーではない、適度にゲームを楽しんでいる20代から40代の10人に、世界的に大人気のパズルゲーム(A)と、個人配信のごくシンプルなパズルゲーム(B)の2種類をプレイしてもらいました。
被験者には生体センサーを装着し、10分間安静にした後、20分間プレイ、10分間休憩を挟んで20分間プレイしてもらい、最後にヒアリングを行いました。ゲーム中は心拍数、集中度、リラックス度、疲労度が測定されました。また、最初のゲーム前、1回目の後、2回目の後にはアンケートが行われています。
その結果、生体反応で示された集中度、心拍数、疲労度はどちらのゲームでもあまり差はなかったものの、アンケートではAのほうが面白く熱中できたという傾向が見られました。ヒヤリングでは、Aに登場するキャラクターがかわいいという意見が多く、かわいいキャラクターを見ると心拍数が上がるという先行研究の結果から、心拍数の増加とゲームの面白さとの相関関係が示唆されました。
生体反応では、BはAに比べて有意にリラックス傾向が示されました。近年はリラックス効果を謳うゲームもありますが、アンケートでは「単調で飽きる」、「暇つぶしにやりたい」などと、Aと比べると退屈なゲームという印象でした。
サンプル数が少なく統計学的に有意な違いを確認できなかったことから研究チームは、「心拍数の増加とゲーム評価やプレイ継続意向との関連性」、「ゲーム評価としてのかわいい因子との関連性」などの視点を加味して検証を続けるとしています。
巨大産業となったゲームの面白さを可視化するこうした研究は、大変に重要なものです。しかし、すべてのゲームがデータに基づいて作られるようになっては面白くありません。ゲームはアート作品ですからね。むしろ、アイデアはいいのに受けないゲームの改良点を明確にするものと考えれば、ゲームクリエイターの強い味方になってくれるでしょう。