より広範な日本の株式市場指数も現在、コーポレートガバナンスの徹底的な見直しと、株主利益への注力強化にけん引され、世界屈指の好パフォーマンスを見せている。コモディティ価格の問題や、サプライチェーン関連の問題が和らいだことも、自動車株全般の追い風になっている。
トヨタについて言えば、電気自動車(EV)ではやや遅れをとっていると見られてきた同社は、これまでよりも詳細なロードマップを発表し、急成長するEV市場でどう競争していくつもりかを示した。
同社はいま、2つの主要エリアに注力している。すなわち、製造とバッテリー技術だ。コスト削減を助ける専用EVプラットフォームの開発を進める一方で、6月に発表した、米国初のバッテリーEV生産工場において、高度に自動化された製造プロセスの配備を目指している。
トヨタは、内燃機関自動車の製造プロセスと、製造の効率性とで知られてきた。EVに関する同社の具体的な計画は、投資家に好感されるかもしれない。トヨタは、2030年までに自社バッテリーEV工場で170万台を生産することを目指している。
また、バッテリーの分野でも順調に前進しているように見える。同社は次世代リチウムイオン電池の開発を進めており、2026年までに準備が整う予定だ。さらに、2027年か2028年までに全固体電池を実用化することも目指している。
可燃性液体の使用を避けられる全固体電池は、EVの安全性向上に役立つと同時に、航続距離を大きくのばし、充電時間も短縮する。この種のバッテリーでは耐久性が大きな課題になっているが、トヨタはその点で技術的な突破口を開いたと述べている。
では、トヨタ株は1株あたり164ドル前後という現状で買うべきだろうか?(6月15日に168ドル、6月28日には160ドル)
トヨタのEV計画は説得力があるように見えるが、同社がどれくらいうまくやれるかは、現時点ではまだわからない。トヨタの現在のEV販売台数はごくわずかで、2022年は3万8000台にとどまった。
EV市場では、テスラがすでに大きくリードしている。2023年のテスラ販売台数はおよそ180万台に達する見込みで、すでにトヨタの2030年の目標の先を行っている。
フォルクスワーゲンなど、その他の主要自動車メーカーも、それぞれのEVロードマップとバッテリー容量に大規模に投資している。参入障壁が比較的低いことから、EV市場の競争はひたすら激しくなっていくものと予想される。
世界最大の自動車メーカーであり、主に従来の内燃機関自動車の方を向いてきたトヨタは、EV計画がうまく進まなければ、失うものが極めて大きい。私たちはトヨタ株を1株あたり162ドル前後と評価しており、これは現在の市場価格とおおむね一致している。
我々のトヨタに対する評価を導いた根拠の詳細については「Toyota Valuation」の分析を参照してほしい。また、トヨタの主要な収入源については「Toyota Revenue」も参照してほしい。
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(forbes.com 原文)