宇宙

2023.07.01 13:00

パプア沖に沈む隕石は「異星人起源」なのか 科学界で論争勃発

遠藤宗生
ローブはかつて、天体物理学と宇宙論の分野での革新的リーダーとして知られ、ブラックホール研究におけるキャリアを認められていた。しかし2017年に奇妙な恒星間天体「オウムアムア」が発見されて以降は、他の科学者たちに、異星人存在の可能性について開眼を促す試みを続けている。

ローブは2021年の書籍『Extraterrestrial』(邦題『オウムアムアは地球人を見たか?: 異星文明との遭遇』)で、オウムアムアは地球外の知的生命体が生み出したものである可能性が高いと主張した。

彼の主張は科学界から激しい反論を浴びた。多くの天文学者と物理学者がローブの仮説に異論を唱え、オウムアムアだけでなく、IM1や、同じく恒星間隕石とされるIM2についても否定している。

異論を唱える1人に、カナダ・オンタリオ州ウェスタン大学の天文学者、ピーター・ブラウンがいる。ブラウンは、ローブがIM1の起源に関する新たな研究論文の審査前原稿を公開。ツイッターで公開した論文要約で「2014年1月8日に米政府の装置が検知した火球は、恒星間天体ではない可能性が極めて高い」とし、「この解釈を支持する証拠が複数ある」と説明した。

ブラウンの主張をまとめると、政府が提供している隕石の推定速度は不正確であり、実際にはずっと遅かったというものだ。原データは米国防総省が所有しているため、独立団体による分析用に公開はされていない。

一方のローブは、こうした懐疑的意見を気に掛けることなく、海上のシルバー・スター号上で祝杯をあげ続けている。

「今週末までには、IM1の元素および同位体組成についてもっと詳しくわかっていることを期待しています。批判する人たちに対しては、私たちの最初の論文でデータを見せること以外、何も言うことはありません。事実に異論を差し挟むことはできません、できるのは解釈に対してだけです」

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫・編集=遠藤宗生

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