一般的にエレクトロニクス製品の再生プラスチック使用率は30%程度に止まると言われているが、ソープラスは安定したパフォーマンスを保ちながら再生材使用率を最大99%にまで高めている。
昨今はソープラスが多くの製品に採用されるようになり、スケールメリットも拡大してきた。そのためリサイクル素材に置き換えることによるコスト負担が商品の価格に添加されることはないと小川氏は言い切った。
ソーラスは工場や市場から回収[4]した材料を破砕[1]、ペレット化[2]して新しくつくる製品に導入[4]するサイクルを実現
ソニー以外のメーカーにもソープラスの採用が広がる
ソニーはソープラスを商品化して2014年から外販している。パートナーによる主な採用事例として公表されている中には、レノボの一部PCの筐体、サムソナイトのスーツケースなど耐久性能を重視するプロダクトがある。ソープラスは成形加工、着色の自由度が高い素材であることから、今後もさまざまな商品や部品として採用される可能性がある。ソニーグループでは今年、中国で開催した自社の展示会「Sony Expo 2023」のほか、2022年にはIT技術とエレクトロニクスの国際展示会「CEATEC」にソープラスを出展した。土橋氏によると「海外からもソープラスに多くの関心が寄せられている」という。筆者が知る限りでは環境に配慮したものづくりを徹底するため、再生素材を自社で開発するエレクトロニクスメーカーは多くない。日本発の「プラスチックに置き換えられる、エコで高品位な再生プラスチック」として、ソニーのソープラスが世界中に大きなインパクトをもたらすことを期待したい。
ソープラスは経年劣化が少ない素材であることから、ユーザーが使い終わった製品から素材を回収して次のものづくりに活かすような循環型のビジネスモデルもいま検討段階に入っているという。「例えばソニーのテレビに採用する部品については、ソープラスであることがわかるように刻印を付けることも考えている。今後の実現に向けて回収方法の検討を進めたい」と土橋氏が展望を語った。今後の展開が楽しみだ。
連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
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