専用カバーの「Style Case with Stand」は筐体そのものがソープラスだ。スマートフォンのポータビリティを落とすことなく、耐久性を高めるプロダクトとしてソープラスの特徴を活かした製品だ。
ソープラスは他のポリカーボネート樹脂と同様に調色も自在に行える。このソープラスを使ったXperiaの専用カバーは、ソニーが同時期に発売するワイヤレスイヤホン「WF-C700N」との色合わせを丁寧に行ったものであると小守谷氏はいう。
バージンプラスチックと比べた場合のメリット
スマートフォンは日常生活のさまざまな場面・環境で使われるデバイスであることから、確かな強度と耐久性が求められる。ユーザーとしてはリサイクル材料を使った場合でも高い性能が担保されるのかが気になるところだ。スマートフォンのXperiaは、2022年モデルの「IV(マークフォー)」の世代から本体にソープラスが使われるようになった。小川氏は「複雑な形状と強度が求められる本体の内部部品から採用が始まり、マークファイブ世代では外装部品にも採用を拡大している。現在の素材技術は耐久性能に関する期待に応えるグレードにまで到達していることから採用を決めた」と話す。
土橋氏によると、リサイクル素材であるソープラスの性能は同じ用途の難燃性バージンプラスチック(新品の素材のみでつくられたプラスチック)と同等であり、現在ある再生材料の中でとても性能が安定している素材の1つであるという。
通常のリサイクル素材の場合、難燃剤の添加量が多いほどプラスチックの特性が損なわれるため、耐久性も低下する。ソニーがソープラスに採用する難燃剤は添加量を最低限にまで抑えることができる。そのため、プラスチックが変質しやすい高温多湿の環境にも耐える強さを備えている。スマートフォンなど、駆動時に熱を持つエレクトロニクス機器の内部部品として使った場合でも経年変化の心配がないのだと、小川氏が素材の安定性を強調する。
ソニーがウェブサイトで公開している、高温高湿下でのソープラスの分子量変化の比較。「3」がソープラス「4」はソープラス以外の難燃性プラスチック「5」がバージン難燃性プラスチック。ソープラスはプラスチックが変質しやすい高温多湿の環境にも耐える強さを備えている