未開拓の日本の可能性を世界と繋ぐことをミッションとするKitchen & Companyの代表・中道大輔がナビゲートするPodcast「VISION TO THE FUTURE」とForbes JAPANがコラボレート。国内外で活躍する“視点”のあるゲストとともに、考え、発信していく。
Vol.47配信のゲストは 干し椎茸専門問屋・杉本商店 代表取締役社長 杉本和英。前編ではアメリカアマゾンで特集ページが組まれるほど人気となった杉本商店の干し椎茸が海外で受け入れられるまでの経緯を聞いた。
中道:今回は杉本商店代表取締役の杉本和英さんをお迎えしてお届けします。Forbes JAPANの記事で杉本さんの活動を知り、楽しみにしておりました。まず、杉本さんの活動も含めて教えていただきたいのですが。
杉本:私は宮崎県の山間地域にある高千穂町で乾燥椎茸を専門に扱う杉本商店を経営しています。杉本商店は1954年に祖父が創業しました。私は大学を出てアパレルの仕事をしていたのですが、2011年の東日本大震災をきっかけに実家に戻り家業を手伝うようになりました。
中道:いま杉本商店の干し椎茸はアメリカで爆発的な人気になっているそうですが、どういう経緯で今のような状況になったのですか。
杉本:創業から現在まで約60年間、杉本商店は地元の生産者さんが持ってきた椎茸はその場で全部現金で買い取るというビジネスモデルでやってきました。少し前まで椎茸のシェアは国内で十分完結していましたが、国内需要の減少に伴い、椎茸は年々売りにくくなっています。
だからといって、僕らの都合で生産者さんに「取引の量を減らします」とは言えません。杉本商店との取引は生産者さんにとって非常に重要な現金収入になっているからです。
僕らは年間約600軒の生産者さんと取引をしていますが、その方々の生活の支えになっているわけです。だったらどうするか。僕らのようなダウントレンドのものが縮小する国内市場で同業他社に勝つには価格を下げるしかありません。しかしそれでは生産者さんの未来を断つことになります。
そこで視点を外に向けてみました。世界の人口は100億超えようとしていて、食糧が足りなくなることは想像に難くない。それに海外には、日本人よりはるかにお金を持っている富裕層がたくさんいます。
彼らは自分たちが安全に食べられるものや健康になるものに価値を見出しお金を払うのではないかという仮説を立て、海外に一歩踏み出してみたのが2016年でした。