バフェット氏も投資した共通の新規投資先に注目が集まる
地方銀行の株式を売却したバフェット氏とは対照的なバーリ氏ですが、両者が共通して新規投資した銘柄があります。金融サービスのキャピタル・ワン・ファイナンシャルです。株価は2021年8月に最高値の177ドルを付けた後、一貫して下落トレンドが続き、直近の5月で半値以下の85ドル台まで値を下げていました。
しかし、5月16日(火)に両2名のFORM13Fが開示されると、株価は短期間のうちに直近の安値から+15%以上高騰しました。
前四半期末に保有していた株式の大部分を売却処分済み
全ての保有株を売却処分した銘柄は、ソフトウェア開発のブラックナイト、靴メーカーのウルヴァリン・ワールドワイド、統合型リゾート運営のMGMリゾーツ・インターナショナルなど、合計6社でした。
以前から資産バブルの崩壊を警告していたバーリ氏が、昨年の第2四半期に保有ポジションの全てを売却した際に、唯一新規で投資した銘柄、刑務所・メンタルヘルス施設事業のゲオ・グループについても、保有株数の大半(6割)を売却しています。追加投資でポジションを拡大させた銘柄は2つだけ
前四半期からの継続保有銘柄では、中国ECサイト大手のJDドットコムを新たに17万株、アリババを5万株購入し、それぞれ株数を大きく倍増させました。まとめ
バフェット氏とバーリ氏とでは投資スタイルは全く異なりますが、両者に共通して言えることもあると思います。2023年第1四半期の相場では、インフレ率の鈍化傾向が続く中でFRBによる金融引き締めの終わりが意識され、昨年の株価下落トレンドからの転換が確かなものであることを探っていくような展開になりました。
そんな相場環境の中、株価自体は低迷しているものの、長期目線で見れば割安な価格になっている銘柄を見定め、一歩踏み込んで投資判断を行っている印象を受けました。
このようにForm13Fからは、単に著名投資家のポートフォリオを知るだけでなく、彼らの頭の中にある投資のスタンスや将来の展望など、我々自身も考察し学ぶきっかけを得ることもでき、とても有意義だと思えます。
※評価額については、3月31日時点の価格に基づいています。
(原文)