ビールマイスターロボは、一般のビールサーバーを独自のプログラミングを行った協働型ロボットを組み合わせて作られています。カウンターからロボットアームが生えているという、産業ロボットをちょいとオシャレにした感じの外観ですが、注目すべきはその動きです。グラスを取り上げ、内側を水で洗い、ビールを、いかにもマイスターっぽい手つきでグラスを回転させながら注ぐと、グラスからはみ出したキメの粗い泡をすくい取り(泡切り)、最後にグラスの外側をきれいに洗ってサーブしてくれます。きれいにしたグラスを持つときに、ビールを浴びた「手」を水で洗うところなど、微笑ましくすら感じます。こちらで動画が見られます。
Quinyは、石川県を拠点に、おもに中小企業向けの産業ロボットや自動化ソリューションを提供するスタートアップ企業ですが、生産性向上や人手不足解消だけでなく「観せる自動化」にもこだわっています。また、自動化が困難とされる匠の技や人の介在が必要とされる分野もAIや画像解析を活用してロボット化することを得意としています。
開発には、自動車メーカー向けの大型自動化設備を製作する小矢部精機が協力しています。そのレーザー溶接機械は世界第2位のシェアを誇るという富山県を代表する中小企業です。この北陸コンビが、ビールマイスターロボを実現させました。
これまでにもビールを注いで提供まで行う装置はありましたが、泡切りまでして喉の渇いた客の期待を高めてくれるロボットは珍しいはずです。また、客の要望に応じた味の変化が付けられるということで、そこも単なる自動機械とは次元の異なるところ。プログラムによってビールに合ったサーブ方法を調整できるので、ビールメーカーとのタイアップも視野に入れているということです。Quinyは、6月6日から9日まで東京ビッグサイトで開催される日本食品工業会の展示会FOOMA JAPAN2023にビールサーブマイスターロボを出展する予定です(ブース7S-21)。試飲もできるそうですよ。
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