政治

2023.06.01 10:30

ロシアは侵攻後15カ月で少なくとも戦車2001両を失う

そのため、ロシア軍が失った戦車が2000両を超えた現在、代替戦車の洗練度は急降下している。ウクライナでは、生産時からの光学機器を搭載したT-55が何両も出現している。まるで冷戦の真っただ中からタイムマシンで現れたようだ。

ウクライナ軍は改良されたT-64を中心に、わずか1000両の現役戦車で戦争に突入した。約半数が破壊されたか鹵獲された。

ウクライナの戦車の損失がロシアと異なる点は、国内に大量の予備があり、またいくつかの外部供給源からも代替の戦車を調達できることだ。ウクライナの同盟国は800両近くの供与を約束した。15カ月で失った戦車を補い、同時に新設されたいくつかの旅団に配備するのに十分な数だ。

ウクライナの代替戦車の大半は旧ソ連で開発されたT-72で、ロシア軍の最新鋭のT-90より洗練度では一世代劣るかもしれない。だが100両以上はドイツ製のレオパルト1であり、85両は新型のレオパルト2だ。英国は14両のチャレンジャー2を供与した。米国は31両のM-1A1エイブラムスを準備中だ。

改修可能なレオパルト2が不足している一方で、英国はおそらくチャレンジャー2を追加で提供できるだろう。米国がウクライナにより多くのM-1を供与しないのは、この戦車は世界中でかなり需要があり、生産が追いついていないためだ。

重要なのは、ウクライナは失った戦車を補充できるだけでなく、代替としてより良い戦車を入手できるということだ。ロシアがイランや北朝鮮などから戦車を輸入しない限り、そして輸入し始めるまでにできることといえば、せいぜい大量のT-62やT-55の錆を落としながらT-90やT-72B3をわずかながら生産することだろう。

ロシアの戦車部隊は後退しており、同時にウクライナの戦車部隊は前進している。そして、この差異は双方の損失が大きくなるにつれて、さらに拡大するかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

ForbesBrandVoice

人気記事