サンフランシスコに本拠を置くインスタワークは、空きシフトを埋めたい企業と時間給労働者のマッチングサービスを提供している。同社は5月18日、シリーズDラウンドで6000万ドル(約84億円)を調達したと発表した。
今回のラウンドは、ベンチャーキャピタルのTCVが主導し、他にベンチマークやスパーク・キャピタル、グレイロックなどが参加。インスタワークの調達総額は1億6000万ドル、評価額は7億6000万ドルに達した。
インスタワークは、2022年にフォーブスの「次世代ユニコーン(Next Billion Dollar Startups)」リストに選出された。メガーニによると、2021年のシリーズCで6000万ドルを調達して資金が潤沢にあり、事業も急速に成長していることから新たな資金調達は考えていなかった。しかし、昨年末にエンジニアリングチームがAIに注目し始めたため、新規調達を思い立ったのだという。
Crunchbaseのデータによると、2023年第1四半期のベンチャーキャピタルからの投資は、前年同期比で53%の減少となった。PitchBookの最新レポートは、金利の上昇や市場の流動性の低下に加え、「地方銀行の破綻による新たなストレス」をその原因に挙げている。インスタワークによる今回の調達は、このように経済の不透明感が増す中で行われた。
シリーズBからインスタワークに投資しているスパーク・キャピタルのナビール・ハイアットは、「株式市場の下落によって、グロース投資を行う投資家は怖気づいている。また、テック企業がレイオフを行う中、企業向けソフトウエア分野への投資意欲が弱まっている」と話す。
しかし、TCVのゼネラルパートナーであるガウタム・グプタによると、ジョブマッチング・プラットフォーム業界はまだ黎明期にあり、投資家は長期的な成長性に注目しているという。スパーク・キャピタルのハイアットも、インスタワークの実績は予想を上回っており、トレンドに反して成功することが可能だと考えている。