これは、賞味期限が3分の1以上残っている食品を消費者に届けるための配慮なのですが、卸売業者は納品期限を過ぎたものを受け付けないため、賞味期限までまだたっぷり期間があるにも関わらず店頭に並ぶことなく処分されます。その一部は安売り店に払い下げられたり、フードバンクなどに寄付されたりしますが、ほとんどは廃棄されているのが実態です。
これを重視した農水省は2012年から働きかけを行い、大手スーパーやコンビニなどが3分の1ルールの緩和、または2分の1ルールを導入するようになりました。納品期限を賞味期限までの半分にして、販売と処分は販業者が設定するというスタイルです。この商慣行の改善がどれだけ進んでいるか、賞味期限が迫っていたり傷があるが食べられる食品などを販売するソーシャルグッドマーケットKuradashiが、全国の食品関連事業者を対象に調査を行いました。
調査では、SDGs推進は企業経営にとって重要だと答えた事業者、SDGs目標達成に向けた取り組みをしていると答えた事業者がともに7割近く、フードロス対策も8割以上が行っているなど、意識は非常に高いことがうかがえます。
しかし、2分の1ルールを導入している事業者は37.7パーセントと割合は低く、あまり進んでいません。じつは、8割以上が2分の1ルールに移行してもフードロスは多少は減ってもなくならないと感じています。実際、商品リニューアルなどによる終売品の発生や小売店からの返品があり、「欠品ペナルティー」といった3分の1ルール以外の商習慣も存在するため、なかなか一筋縄ではいかない状況なのです。
欠品ペナルティーとは、欠品が発生すると生産者が小売店に補償金を支払う制度で、それを避けるためにメーカーは余分に生産し、つねに余剰在庫を抱える状態となり、そこからもフードロスが生まれています。
法律は改正ができますが、商習慣はなかなかやっかいです。しかし食品業界の商習慣の多くが、賞味期限が近い商品は買わないなどの消費者の購買行動に起因していると思えば、これは食品業者というより私たち消費者の問題です。フードロスはみんなで考えなければなりません。
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