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2023.05.22

女性役員をいかに増やすか、企業が効果的と感じた増加策とは

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4月27日、岸田首相は男女共同参画会議で、2030年までにプライム市場に上場する各企業で女性役員の割合を30%以上にする目標を明らかにした。しかし内閣府によると、2022年7月時点で女性役員の割合が目標に達しているプライム上場企業は、わずか2.2%。女性の役員がいないプライム上場企業も、約2割(18.7%)存在することが分かっている。

そうした中、人材サービス企業のWarisは、役員経験者および役員候補の女性80名を対象にした調査を実施。結果からは、女性役員が抱える課題や悩み、女性役員を増加させるヒントが明らかになった。

最初に、役員を初めて引き受ける際にネックになったこと・不安に感じたことを尋ねると、最多が「責任の増加」(45.3%)で、次いで「能力・経験が不足していると感じた」(28.1%)、「仕事の内容をイメージしにくい」(18.8%)という結果に。 

役員になった理由については、「仕事内容に興味ややりがいを感じて」(59.4%)と「女性活躍に貢献したい」(51.6%)が半数を上回り、「経験を積みたい」(48.4%)、「経験やスキルを活かしたい」(45.3%)が続いた。

一方で、役員として苦労や不満を感じている点については、1位が「フィードバック・評価を受けにくい」(37.5%)となり、2位「役員周辺業務に関する学びの場が少ない」(32.8%)、3位「ロールモデルが少ない」(23.4%)の順に。

女性役員を増やすために効果的だと感じることについては、最も多かったのが「社内外の女性役員・管理職とのネットワーキングの機会」で50%、次いで「業務経験の男女格差是正(新規プロジェクトの企画提案、共同プロジェクトのマネジメント、事業戦略全体の策定業務など)」(46.3%)、「柔軟な働き方の実現(フレックスタイム・テレワークなど)」(43.8%)となった(いずれも複数回答)。

役員として、多様性の観点で企業や社会に貢献できていると感じられていることについては、「異なる視点や発想を経営判断に入れることで、取締役会が活性化し、多様な視点で経営判断ができるようになっている」(取締役/50代)、「ロールモデルとして助言できる」(役員経験あり/60代)、「外資系人事での経験を元に後継者育成、次世代社内取締役候補の選定、育成などについて指名委員会で貢献できている」(社外取締役/60代)というコメントが。

さらに役員を目指す女性に向けては、「誰でも新しいミッションを引き受けるときには、不安や能力・経験不足ではないかと感じるものだが、一番大事なのは『自分がやる』という覚悟とコミット」(執行役員/50代)、「視座を高くして仕事にあたること、胆力を鍛えること、志を高く持つこと」(取締役/60代)、「より意見を言える立場に就いていただきたい。そのためにも学び続け、努力を惜しまず、家庭も家族も大切にしてほしい」(役員経験あり/65歳以上)などといったアドバイスが贈られた。

女性役員の活躍は、社員のモチベーション向上や組織・個人のパフォーマンスアップ、優秀人材の獲得と流出防止などにつながる。役員になる資質を持った女性がそのジェンダーのために気後れせず、自らを成長させ、組織・社会に貢献できるチャンスを生かせるように、慣習と風土をいち早く変えていく必要があるだろう。

プレスリリース

文 = 大柏真佑実

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