事業継承

2023.05.13

米最大スニーカー店へ事業売却 atomos創業者がはじめる起業家支援とは

本明氏。1日のほとんどを過ごすStarbucksの前で。

これからの歩みー寄り添う投資家へ

今年1月にatmosのCEOを退任した本明氏だが、今後は“投資家”の立場に転じて活動をしていく上で、投資先の起業家との関わり方にも、“決して効率にとらわれず”、お互いの心のつながり合いを重要視した関わり合いをしていくつもりだという。
 
自分自身、駆け出しの時期は真剣に、親身にアドバイスしてくれる周りの存在に助けられたと話し、「お金よりもどれだけ起業家に対して時間を使ってあげられるかどうかが大事。投資後も共に悩み共に議論していきたい。」と語った。
 
スタートアップでは、投資家が起業家に対して単なる資金投資だけでなく人的ネットワークやビジネス経験を提供することで、そのスタートアップの成功確率が高まることが期待される。

本明氏も投資先にはビジネスの成功例と失敗例を教えることでリスクマネージメントをしてあげたり、自らの経験を活かしてラッキーボーイで終わらない2度も3度も成功する商売の気構えを教えていきたいとしていた。しかし、それ以外にも投資家が起業家に施す精神面でのサポートが、スタートアップの成功の鍵を握ることもある。
 
本明氏は具体例を出してこのように話した。
 
「たとえば落ち込んでいる時に業務的に10分間だけ話して、『もう話したからあなたは大丈夫です』と済ませるよりも、3時間でも5時間でも手を握りながら隣にいてあげた方がたとえ何も話さずともその人を本心から思いやっていることが伝わるのではないか。その人も頑張らなきゃな、と思い直すことができるのではないか。」
 
まさに、心のつながり合いを重要視した関わり合いである。
 
そして、本明氏にどんな起業家に投資していきたいかを尋ねると、以下、本明氏らしい答えが返ってきた。
 
・1にも2にもやる気がある人
・ご飯より商売が好きな人
・一度投資を断ったとしても、二度目三度目と食らいついてくるような人
 
結婚にも交際期間があるように、共に事業をやっていくならば時間共有をしていき、また共同理解が必要だという。本明氏は投資先を決める上でもどれだけ自分に共感してくれ、どれだけ自分とうまくマッチし、また起業家から何を学ばせてもらうことができるかを重要視するそうだ。
atmos引退時のお写真

atmos引退時のお写真


一人で思考する時間をとるために毎日のように渋谷区のstarbacksに通っているという本明氏は、「(起業家の皆さん)ぜひstarbacksで会いましょう」という冗談も交えながら、次世代の世界を狙う起業家にメッセージを送った。本名氏は日本から世界に挑戦する起業家支援サービス”ASA"を今年設立。今後、アクセラレーターや投資事業にも力をいれる。
 
「日本だけじゃなくてグローバルを見据えて頑張って商売をしてほしい。そして、その商売をやるときに上手くいかないことが出てくるのは当たり前。それを理解しながら頑張れるガッツのある人(起業家)をサポートしていきたい」
 
野心ある次世代の起業家と本明氏のケミストリーに期待したい。

取材=戸村 光 文=伊藤 香月

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