欧州

2023.05.12 13:00

英、一部の処方薬を診断なしで薬局販売へ 医師の負担軽減で

処方薬を確認する薬剤師(Getty Images)

処方薬を確認する薬剤師(Getty Images)

家庭医(かかりつけ医)の負担増大に対処するため、英国政府と国民保健サービス(NHS)は2023年5月9日、イングランドの調剤薬局で特定の処方薬を医師の処方箋なしで購入できるようにする計画を発表した

年内に施行される新規則の下では、経口避妊薬や、耳痛、喉の痛み、とびひ、帯状疱疹、虫刺され、副鼻腔炎、合併症のない尿路感染症の治療薬を、地域の薬局が処方・販売できるようになる。

関係当局は、6億4500万ポンド(約1100億円)の政府資金を投入する新制度によって、今後2年間で一般診療の予約が最大1500万件減ると期待している。

もっとも、すべての薬局が新制度の対象ではないため、今まで通り最初に医師の診察を受けなければならない場合もある。

資金不足で相次ぐ薬局の閉店

ただ、BBCの8日付の調査報道によると、イングランドでは薬局も深刻な負担増大に直面しており、この2年間で約160店舗が閉店。地域の薬局の数は、8年ぶりの低水準となっている。

業界団体・独立系薬局協会(AIMP)のレイラ・ハンベック代表はBBCラジオ4の番組に、チェーン店以外の薬局は「多くが資金繰りの深刻化に苦しんでいる」と指摘。薬局業務の大部分がNHSの資金提供によるサービスなため、ランニングコストがかさむと大幅な資金不足に陥るとして、独立系薬局への資金投入が必要だと訴えた。

また「薬局業界は長年、労働力の課題に直面している」とし、追加支援がなければ今後1年間で「さらに多くの」薬局が閉店せざるを得なくなるだろうと述べた。
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編集=荻原藤緒

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