AI

2023.05.15 17:45

キャラクターと人間が共存する時代へ。ChatGPTがもたらす衝撃の変化とは?

Forbes JAPAN編集部

バーチャルキャラクターが人格をもつ世界線が、ついに現実味を帯びてきた。そう感じたきっかけは、最近話題の米「OpenAI(オープンAI)」社が開発した人工知能チャットボット「ChatGPT(チャットGPT)」の急激な進化によるものだ。読者のなかにも、ChatGPTに質問やテキストを打ち込んで、どんな答えが返ってくるか試してみた人も多いのではないだろうか。仕事のために本格的に導入・活用し始めたという人もいるだろう。

3月1日(現地時間)にChatGPTのAPI(システム同士を連携させる仕組み)が公開されるやいなや、世界中でChatGPTを組み込んださまざまな製品やサービスの開発が一気に加速した。さらに14日には、「GPT-4」という同社の言語モデルシステムのアップグレードがあり、進化自体が猛烈に進んでいる。

私自身も「ああ使えるかも、こう使えるかも」などと仕事でのいろいろな用途を考えた一方で、アニメオタクとして真っ先に思い浮かべたのは、メタバース空間でのバーチャルキャラクターや、RPGゲームのNPC(Non Player Character)にChatGPTを搭載したらどうなるかということだった。

これまで多くの作品で描かれてきたような「会話ができるキャラクターと共生できる未来」が急速に近づいたように感じたのだ。キャラクターと人との距離感が根本的に変わるかもしれない。ドラえもんやアトムのように、人間同士のように会話したり接したりできるロボットが登場する可能性も大きくなった。

そんなバーチャルキャラクターとの共生を体験できるプロトタイプを、世界に先駆けてつくり出した会社が日本にある。東京・秋葉原に本社を構えるGatebox(ゲートボックス)だ。

この会社は透明なカプセル型の箱の中にホログラム状のバーチャルキャラクターを表示させ、AI技術を組み入れることで会話もできるハードウェア製品「キャラクター召喚装置『Gatebox』」を2016年に発表、19年から量産モデルを販売している。コツコツと製品の改善を続けていたが、ここに来て、突如大波が来た。前述したChatGPTの登場とAPIの公開がそれだ。

人間以上の返答をするキャラクター現る

Gatebox代表の武地実をはじめとする技術者たちは、3月1日に世界中でAPIが公開されると即座にGateboxに組み入れていたAIのオープンソースをChatGPTに切り替えた新たな試作版をつくり上げた。キャラクターの会話の幅や返答内容のクオリティは段違いにアップし、時に人と話す以上に気が利いた返答をもらえるときすらあるキャラクターが出来上がったのだ。
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文=中山亮太郎 イラストレーション=岡村亮太

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年6月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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