しかし終身雇用の時代が終わり、近年、自らのキャリアを会社に依存せず、自分で形成していこうとする「キャリアの自律」が叫ばれるようになったこと、入社後のミスマッチを防止することなどを目的として、新卒人材についても職種別採用に踏み出す企業が目立つようになった。
そうした中、人材サービスを展開するヒューマネージは2月、同社が提供する採用管理システムの顧客企業361社を対象として、2024年3月卒業予定の大学生・大学院生の新卒採用に関する動向調査を実施。職種別採用の実施状況を尋ねたところ、「全員を職種別で採用する」企業は約4割(39.3%)に及んだ。他方で、「一部を職種別で採用する」企業も21.3%あり、合わせて6割(60.6%)の企業が職種別採用を行っていることが明らかになった。
さらに企業群別で実施状況を見ると、大手・人気企業では「すべて職種別採用」(44.2%)と「一部が職種別採用」(28.4%)が合わせて7割を超える(72.6%)一方で、中小・成長企業では同割合が合わせて5割強(54.9%)にとどまり、20ポイント近くの差が見られた。
また、「職種別採用」ではない(メンバーシップ型採用の)対象者の配属職種をいつ決定するかについては、文系・理系職種ともに「選考中から内々定時」が最多に(文系35.9%、理系37.2%)。これに「内々定後から内定式の間」「内定式後から入社まで」を加えると、職種の文理を問わず半数以上の企業が、入社前に配属職種を決定していることが分かった。
ヒューマネージは、人手不足を背景に売り手市場は続き、就活生へのアピール、内定辞退を避ける施策としても、企業が職種別採用を取り入れる動きはさらに広がっていくと予想。そして「配属ガチャという言葉が広がってしまっている中では、(学生)本人の不安感を払しょくしながら、本人が認識している『やりたいこと』『やれること』と、会社が認識している『やれること』『やって欲しいこと』のすり合わせを丁寧に行う取り組みが求められている」と考察した。
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