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2023.05.09

3年9カ月で上場 M&A総研CEOが語る、起業家にとって重要な素養

M&A総合研究所 代表取締役CEO佐上峻作

例えば、「タピオカが流行っている」というユーザーニーズを拾ってタピオカ屋さんを立ち上げる。これはボトムアップ型の事業家発想で、これはこれで大切です。しかしながら市場規模をマクロ視点で見られていないから、「途中まで伸びたけど、売上成長が止まった」といったことが起こり得ます。

一方でマクロな視点で考えられる経営者は、どういうインダストリーがあって、そのインダストリーのシェアを何%取って、事業や会社をどれくらいの規模にするかを考えて起業します。そしてとるべきアクションを意思決定していくべきなのです。

学生時代から数学は好きだったのですが、今も経営という証明問題を解き続けているような感覚があります。

──M&A総合研究所の事業も逆算から生まれたのでしょうか?

そうです。全てゴールから逆算しています。

私はM&A総合研究所を起業した際、上場のタイミング含めゴールを設定し、そこから逆算して行動をしました。

ネットバブルの時代ならインターネット完結のサービスでもスケールする余白があったと思います。ですが、いまの日本ではスケールできる事業ドメインがどんどん減ってきています。さらにITサービスはすぐに模倣されるリスクがあるので、なかなか難しい。

M&Aという着眼点自体は、自分が何度もM&Aを経験して課題を発見したことによるボトムアップ型。でも、やると決めたのはマクロから市場を捉えた時の参入障壁、市場規模や期待獲得シェアを試算し、目標を確実に達成できると確信したからです。

市場規模の大きさが会社の規模を決める。この資本主義の原理原則を理解した上で起業することが、特に若い方は意識すべきポイントだと思います。

──他にマーケット選定する際に意識すべきことがあればお教えください。

徹底した業界調査です。競合企業にどういう人間がいて、何を考えていて、どうやったら勝てるか、という勝ち筋を見出してから始めることです。

投資家から見たら「数社に1社大きく成功」するのがスタートアップかもしれませんが、起業家にとっては一度きりの人生で失敗するわけにはいきません。何かしら勝つための戦略を立てないと勝てません。

私の場合、有望な市場を選定したら、あとは知人、ときにはビジネスマッチングサービスなども利用しながら徹底的にヒアリングを繰り返します。この徹底度が他の起業家とは違うように思います。本気で徹底的に調査を繰り返していけば、市場の概要は理解できますし、勝ち筋も見えてきます。

戦う前にほとんど勝負は決まっている。勝ち筋が見出せないならやらない方がいい。そのくらい、事前準備が大切だと思います。

文=下平将人 提供元=DIMENSION NOTE by DIMENSION, Inc.

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