こうした「不正利得」にメスが入れられたにもかかわらず、ロシア人オリガルヒは依然として極めて裕福であることがフォーブスの調べでわかった。制裁対象となった46人の大富豪は、ウクライナ侵攻の前日である昨年2月23日以降、純資産総額の約14%に当たる推定480億ドル(約6兆4300億円)を失ったに過ぎないのだ。
こうした一連の制裁に対し、ロシア人大富豪らは弁護士軍団を伴って反撃に出た。対象となった少なくとも20人の大富豪が、制裁の解除を求めてEUの一般裁判所に提訴したのだ。デリパスカは昨年6月、2018年にさかのぼる制裁を巡って米連邦最高裁に申し立てを行い、鉄鋼王のアレクサンドル・アブラモフも同月、オーストラリアによる制裁を巡って同国を提訴した。
先述のウィンクラー制裁弁護士によれば、たとえ原告が欧州で裁判に勝ったとしても、制裁が解除される可能性は低いという。「過去の例では(EUは)単に別の理由をつけて、同じ制裁指定を再発行しただけだった。制裁弁護士の間では、これを『話法』と呼んでいる。法律上、EUにはそれが許されているのだ」と説明した。
裁判の結果がどう転ぼうとも、欧米の制裁は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に圧力をかけるよう、オリガルヒを仕向けるだけの経済的苦痛を与えるという目標に失敗したことは明らかだ。
欧米が凍結または差し押さえたロシア人大富豪の資産
不動産数:124軒
総額:50億ドル(約6700億円)
ヨット
数:15隻
総額:29億ドル(約3900億円)
航空機
数:11機
総額:11億ドル(約15億円)
(forbes.com 原文)