経済

2023.04.26 13:00

ヨット15隻、航空機11機、凍結されたロシア人大富豪の資産の内訳

ロシア人大富豪ビクトル・ベクセリベルクが所有する豪華ヨット「タンゴ」号(Getty Images)

今月時点で、欧米諸国はロシア人大富豪が所有する少なくとも15隻のヨット、11機のジェット機とヘリコプター、124軒の不動産を含む、総額で90億ドル相当の資産を凍結または差し押さえたとフォーブスは推定している。だが、フォーブスの2023年版世界長者番付に掲載された、制裁対象となったロシア人およびロシア出身の大富豪46人の総資産3100億ドル(約41兆5800億円)と比較すれば、大した規模ではない。
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この90億ドルには凍結された資産も含まれている。つまり、大富豪は依然として資産を所有してはいるものの、それを使用・売却したり、維持費を支払ったりすることができないのだ。当局が正式に差し押さえた資産は比較的少ないため、政府が所有権を得て、競売にかけることもできる。

ベクセリベルクのタンゴ号のほか、米国はロシア人大富豪のスレイマン・ケリモフのヨット「アマデア」号、さらにベクセリベルクと大富豪オレク・デリパスカが所有する米ニューヨーク、フロリダ、ワシントンの9軒の不動産を差し押さえた。対象となった資産は総額で6億3500万ドル(約850億円)と推定されているが、数十億ドル(数千億円)もの資産を持つ大富豪にとっては痛くも痒くもない。このように、制裁はオリガルヒの懐にはあまり響かないが、欧米にある贅沢な財産を所有者から物理的に切り離すことで打撃を与えているのだ。

ウィンクラー弁護士は、欧米が現在の制裁を解除する可能性は極めて低いとみている。「制裁による資産の遮断は、本人だけでなく誰でも、たとえどんなに小さな資産でも利用を一切禁止するものであるため、所有者が所有権を持ち続けているという事実は意味を持たない」という。
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欧米の制裁対象として最も注目されたのは、オリガルヒが所有する豪華なヨットだった。だが、船舶を差し押さえるのは決して安いものではない。ウクライナ侵攻が始まってから数週間後、地中海やカリブ海の港で差し押さえられた多くの船舶は徐々に朽ちていき、政府が船を係留しておくために支払わなければならない金額は数千万ドル(数十億円)に膨れ上がっている。

英ロンドンに拠点を置くキーストーン法律事務所のパートナーで、豪華ヨット問題を専門に扱うベンジャミン・モルトビーは「対象となった船舶は、いずれも所有者にとっては経済的価値がないものだ。押収されようが、単に差し押さえられようが、もはやヨットとしての機能を果たすことはできない」と指摘。「移動手段や娯楽の場として使用することはできず、所有者が売却することもできない。物理的に劣化していく資産だ」と説明した。
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翻訳・編集=安藤清香

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