5社のうち2社は、AIで生成した動画や俳優を起用したビデオで、実在しない人物をCEOとして紹介していたとされる。フォーブスは、この2社のMaxpread TechnologiesとHarvest Keeperにコメントを求めたが、回答は得られなかった。
カリフォルニア州金融保護革新局(DFPI)が4月19日に公表した営業停止命令書によると、Maxpread社が作成したプロモーション用のユーチューブ動画にCEOとして登場したマイケル・ヴァネスとされる人物は「コンピュータが生成したアバター」だった。
DFPI広報のエリザベス・スミスはフォーブスの取材に、動画に登場しているのはAI動画作成サービスの「synthesia.io」で用意されている「Gary」というアバターだと説明した。
Maxpread社が公開していた7分間の動画では、白髪交じりの髭を生やした中年の男性が、ロボットのような単調な声で、「世界中の最も影響力のある起業家たちの意見を聞いた結果、私たちは今こそが当社のローンチに最適なタイミングであることを再認識しました」などと述べていた。
DFPIはまた、Harvest社のビデオ2本にマーカス・ピーターズという名前のCEOとして出演した人物が、雇われた俳優だったと指摘。「これは全くのうそで、マーカス・ピーターズは俳優が演じた架空の人物だ」と営業停止命令書に記している。同社は先月破綻し、「投資家は資金にアクセスできなくなった」という。
ビデオに出演した俳優は、フォーブスの取材に匿名を条件に応じ、同社が自分を実際のCEOとして宣伝し、ウェブサイトに写真を掲載するとは思いもしなかったと説明。このオファーを受けたことが「とんでもない過ちだった」と述べた。
「本当に困っている。お金を失ったという人々からメッセージが届いているが、私には何もできない」
DFPIによると、これらの企業は「AIを使って暗号資産を取引する」として投資家を募っていたが、実際はマルチ商法で新たな投資家を勧誘する仕組みだったという。
(forbes.com 原文)