ビジネス

2023.04.26

ワイキキで増殖中の「フードホール」その裏にある意外な理由とは

各国のアジア料理が揃う「クヒオアベニュー・フードホール」

許可申請困難ならフードホールで

実は、こんな建設許可の滞りも、フードホールの増殖につながっているのである。つまり、新たに物件を見つけて内装工事をするのが困難というなかで、すでにキッチン設備などの許認可が下りているブースに入ったほうが新規出店にはメリットが多い、ということになる。

そりゃ、そうだ。何年も工事待ちということもないし、フードホール全体でリカーライセンスを取っている場合もあり、お酒提供の心配もない。それでいて、1カ所に店舗が集中するフードホール形式なら当然ながら集客も期待できる。ほとんどのフードホールは目立つ場所にあり目につきやすい。

ワイキキにオープンした「STIX ASIA ワイキキ」も「クヒオアベニュー・フードホール」も、実は以前からフードホールだった場所がそっくりそのまま名前と店舗だけが変わった形だ。新たな許可申請の手間を経ずにオープンできたはずで、実際、どちらのフードホールも店舗ブースの位置やキッチンなどはほとんど変更になっていないようだ。

行政が健全化されたせいで、許可申請に時間がかかることになり、それが「フードホール」という形態の興隆を生んだ。まるで「風が吹けば桶屋が儲かる」という日本のことわざさながらだが、ここはハワイ。風といっても気持ちいい貿易風に吹かれながら、そんな目線でワイキキのフードホールを眺めると、ハワイビジネス界の裏側が見えてくるかもしれない。

文・写真=岩瀬英介

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事