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2023.04.26

ワイキキで増殖中の「フードホール」その裏にある意外な理由とは

各国のアジア料理が揃う「クヒオアベニュー・フードホール」

ワイキキの飲食店不足が深刻

さて、ハワイの話だ。この「STIX ASIA ワイキキ」は、広さ2万3276スクエアフィート(約635坪)の空間に17店舗が入るかなり大型のフードホールだが、これほどの規模ではなくとも、実は、ワイキキでは最近フードホールが増殖している。
ワイキキの一等地にある「STIX ASIAワイキキ」の内部

ワイキキの一等地にある「STIX ASIA ワイキキ」の内部


コロナ禍直前にはロイヤルハワイアンセンター内に「ワイキキ・フードホール」がオープン。ハワイアンフードやカフェなどが集まり、大々的にオープニングイベントも行ったが、オープンしてすぐコロナ禍に入ってしまうという不運もあり、しばらくは休業しているテナントも多かった。が、最近は息を吹き返し、米国本土からの観光客で賑わっている。

そして、カラカウア通りをはさんでワイキキ・フードホールの向かい側、インターナショナルマーケットプレイスに入り、クヒオ通りへと抜けると、通りに面した1階部分に「クヒオアベニュー・フードホール」も開店した。

中央に生ビールなどがサーブされるバーカウンターがあり、ピザやタコス、各国のアジア料理やラーメン、ハンバーガーまで、それほど大きくはない空間に多種多様な料理が凝縮され、用意されている。大型モニターも設置されており、フットボールの試合のときなどは米国からの観光客がスポーツバーさながらに大声をあげて観戦している光景も見られる。

クヒオ通りに面した「クヒオアベニュー・フードホール」

クヒオ通りに面した「クヒオアベニュー・フードホール」


またインターナショナルマーケットプレイスには、2階に日本食を多く扱う「ミツワ・マーケットプレイス」が入っており、こちらにも2、3店舗ほどの小型フードコートのスペースがあるのだが、コロナ禍以降テナントが空いていた。

それが今年は4月28日から7月末まで、北海道からラーメン店を入れ替わりで誘致して「北海道ラーメンフェスティバル」を開催。どうやら夏以降に新たなテナントが入る予定のようだ。

インターナショナルマーケットプレイスから程近い、旧DFS前の路地にも、小さなフードホールが出現。通りの名にちなんで「ロイヤルハワイアン・ダイニングプラザ」と名付けられたスペースには、ラーメン店「えぞ菊」や弁当店「Uキッチン」、他にもギリシャ料理やインド料理など多国籍な店が並ぶ。

そこから、旧DFSの反対側、ルワーズ通りの以前は「パイナップル・カウンティ」というセレクトショップがあったビルにも、現在、新たなフードホールが計画されており、絶賛テナントを募集中。「パイナップル・カウンティ・マーケット」という名称で1階と2階の2フロアで7店舗の構成になる計画だ。
比較的小さなフードホール「ロイヤルハワイアン・ダイニングプラザ」

比較的小さなフードホール「ロイヤルハワイアン・ダイニングプラザ」


こうしたフードホール増殖の背景の1つには、もちろんワイキキの飲食店不足がある。コロナ禍を経てたくましく営業を続けている飲食店も多いが、やはり閉店した店もあるのは事実で、いまもワイキキの建物にはテナント募集の張り紙を見ることは多い。

それにもかかわらず、米国本土からの観光客は増加、観光景気はコロナ禍前のレベルに戻り、ワイキキの夕食時にはどこの飲食店も予約がいっぱいだ。フードホールという形態は、家賃の高いワイキキで少しでも省スペースで飲食店を増やそうという苦肉の策とも言える。
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文・写真=岩瀬英介

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