AI

2023.07.23 11:30

作曲するAI、グーグルの「オーディオLM」は音楽家の脅威となるか

石井節子

Wonderfulengineering

音楽が変わる。音楽を生業とする人々は、自身の今後の仕事を案ずるべき時期かもしれない。AIを搭載した音楽生成アプリが登場し、普及の兆しを見せている。

音楽作成アプリMubert AIは「ストリーマーから映画製作者、アプリ製作者までの役割を代替する」という。当アプリはテキスト入力をすることで、人が作曲したような音楽を作ることができる。「あらゆる種類のコンテンツクリエイターが、高品質でロイヤリティフリーの音楽をカスタムライセンスできるように、これまで以上に操作を簡単にした」という。もちろん、これまでもコンピュータで作られた音楽はあったが、今回の開発は従来とは異なる。このアプリを率いるのは、Mubert AIとGoogleのオーディオLM(Audio LM)だ。両者は、音楽制作のための通常のクリエイティブな統合物とは異なる。むしろ、音楽家自身のクリエイティブな代用品なのだ。音楽を作るためにアプリを使うことで、人間への依存度を低減することができる。

Mubert AIは、エレベーターの中で聴く曲のような音楽を作る。本サイトによると「4000人以上のクリエイター が開発した『100万曲以上の(音楽)サンプル』でトレーニングされているそうだ。ユーザーが曲の作成を目指す際、ジャンルやムードの記号を組み合わせて選択する。それだけで、ReelやTikTokのための、歌詞のない、記憶に残りづらいBGMができあがるのだ。

GoogleのAudio LMは、TikTokと同じくらい古いものである。Googleは、歌詞とボーカルパターンを完成させるために努めている。ユーザーはAudio LMに、ピアノの楽譜の数音符のようなオーディオクリップを1つ以上送ると、機械はその途中から曲を作ってくれるという。アプリへの「反論」に答えるため、Mubert AIは、「人間」のミュージシャンやプロデューサーはプラットフォーム用に作成したサンプルからお金を稼ぐことができると述べている。しかし、Googleは上記の内容については供述していない。

世界は自動化とAIに向かいつつある。しかし、その過程でオリジナリティが失われる可能性は十分にあるのだ。

(この記事は、英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」から翻訳転載したものです)

Wonderfulengineering

ForbesBrandVoice

人気記事