北米

2023.04.18

中国がNYに「秘密警察」の拠点開設、工作員2人が逮捕

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米司法省は4月17日、中国政府の工作員の男2人がニューヨークに秘密の警察署を設置し、米国に住む中国人を監視したとして逮捕し、他の約30人を訴追したと発表した。
 
司法省によると、男2人は米当局に知らせることなく中国政府の代わりに活動することを共謀した罪のほか、司法妨害の罪に問われている。また、これとは別に司法省は、米国在住の反体制派の監視や嫌がらせ活動に関与したとして、中国の公安当局者34人を訴追した。
 
検察によると、男2人は中国の公安部の代理として、マンハッタンのチャイナタウンに秘密の警察署を設置し、米当局への届け出なしに中国の免許証更新などのサービスを提供していた他、中国系アメリカ人の監視活動を行っていたという。
 
この警察署は2022年初頭に開設され、連邦捜査局(FBI)の捜査を受けて同年末に閉鎖された。
 
司法省によると2人は逮捕され、17日にブルックリンの連邦裁判所に出廷する予定という。被告らはFBIの捜査を知った後に中国の国家警察との通信記録を破棄したとされる。また、他の34人の被告は、すべて中国在住のメンバーで、ソーシャルメディアを使って中国に好意的な投稿をしたり、反体制派を攻撃していたという。
 
「中国の公安当局が、米国内に秘密の違法警察署を設立して弾圧を輸出し、法の支配を破壊するのはまさに言語道断だ」と司法省防諜部のカート・ロノー部長代理は述べた。
 
検察によると、中国政府が海外在住の反体制派をスパイし、弾圧する行為は過去にも確認されていたという。昨年の同様の事件で、司法省は、ニューヨークの下院議員候補やアーティストを含む反体制派を威嚇するために中国政府の支持を受けて活動していた5人を訴追した。また、2020年に司法省は、米国に居住する中国人にプレッシャーを与え、中国に帰国させようとした罪で8人を訴追していた。しかし、中国は米国と犯罪人引き渡し条約を結んでいないため、中国政府の工作員に対する刑事告発はしばしば困難に直面する。
 
司法省はまた17日に別の事件で、Zoomと広く報じられているプラットフォームを使って反体制派を脅迫し、黙らせたとされる10人を新たに訴追した。Zoomの元社員のJulien Zinは、2020年に天安門事件の追悼行事を妨害したとして告発され、訴追されていた。
 
forbes.com 原文

編集=上田裕資

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