働き方

2023.06.05 14:30

未来が予測不可なら、制御せよ 今こそ「エフェクチュエーション理論」に学べ

中小企業の起業家・経営者への提言

これらの結果を踏まえて、私たちは中小企業の起業家や経営者に次のような提言をする。

1. 未来は一つではなく、あなたの決断がどの未来を切り開くかを決めるということを意識するべきだ。今日の決断は、新しい未来を創り出す。言い換えれば、チャンスとは不確実性の向こう側にあるものである。

2.限られた資金を市場調査に費やしてはいけない。その代わり、人的資源や経験知などの無形資源を活用して、不確実性を解き明かそう。

3.自分の経験(成功体験、失敗体験)を真摯に受け止め、反省し、異なる条件下で何がうまくいき、何がうまくいかないかを考えよう。

4.リソースの概念を見直そう。リソースとは、有形資源に限らない。実際、想像力、個性、経験、組織文化、従業員、その他多くの無形資源も、戦略的動員のための資源とみなせるのだ。

5.ネットワーク内で、有形資源を持ち、その資源を投資するパートナーを求めている他のステークホルダーと信頼を築き、コミットメントを発展させよう。

6.意思決定の論理を考え直そう。コントロールのエフェクチュエーション・ロジックによって、あなたは既存の手段の価値を知ることができ、信頼を築き、他の重要なリソースへのアクセスを得るために既存の手段を採用する動機付けを得ることができるようになるはずだ。エフェクチュエーション理論がアドバイスするように、もしあなたがそれを予測できないのであれば、それをコントロールするのだ。

本稿は、以下の発表論文に基づくものである。

Karami, M., & Tang, J. (2021). Decision-makers’ logic of control and SME international performance. Journal of Business & Industrial Marketing. https://doi.org/10.1108/JBIM-11-2020-0516

参考文献
Sarasvathy, S. D. (2001). Causation and effectuation: Toward a theoretical shift from economic inevitability to entrepreneurial contingency. Academy of Management Review, 26(2): 243-263.

Masoud Karami, PhD, works at the Department of Marketing of the University of Otago Business School in New Zealand. Jintong Tang, PhD, works at Richard A. Chaifetz School of Business at Saint Louis University in the United States. Ludvig Levasseur, PhD and corresponding author, works in the entrepreneurship area at the Indian Institute of Management Bangalore.

編集=石井節子

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