運営するOVGOは、創業者・溝渕由樹が小学校の同級生2人と2020年に起業したスタートアップで、国内では東京都内を中心に7店舗を展開。この成功を経て、かねてからの目標だった海外進出を果たす。
日本発のクッキーブランドが、いわゆる“逆輸入”の形で進出することになるが、その勝算はどこにあるのだろうか──。
本連載「OVGOの軌跡」では、創業者の溝渕へのインタビューを中心に、OVGOの成長の軌跡を辿る。第4回となる今回は、ニューヨークへの進出に迫る。
>>前回
プラントベースフード市場全体を狙う
米国のクッキー市場は、2025年までに112億米ドルにも達すると予測されている。近年は健康を意識した商品が増え、ヴィーガンやオーガニック食品を好む消費者がその成長を支えている。つまり、アメリカはプラントベースクッキーが受け入れられる土壌がある。しかしそのぶん競合も多い。そのなかでovgo Bakerは、いかに選ばれるブランドになるのか。溝渕はこう考える。
「たしかに競合は多いのですが、会社として環境や社会への配慮を徹底している企業はまだ少ない。ovgo Bakerは、環境問題や食糧問題への貢献を目指して生まれたブランドなので、そこがアピールポイントになると考えています」
OVGOはアメリカ進出に向けて、今年1月にB Corp*を取得した。アメリカ国内のB Corp取得企業とも連携して、コアなファンづくりから取り組んでいく。
*米国の非営利団体B Labによる国際認証制度で、環境や社会に配慮した公益性の高い企業に与えられる。
また資金面では、同月にICJ2号ファンド、MBKF、個人投資家14人を引受先とした調達を実施。これを国内事業の拡充のほか、アメリカでの法人設立や販促費用に充てる。
まずはベネフィットコーポレーションを設立し、イベントや卸売りをベースとした事業からスタート。その後、2024年以降にニューヨークでアメリカ第1号店のオープンを予定している。
「OVGOは、プラントベースの“クッキー”市場だけでなく、プラントベースフード市場全体を狙っています。たまたま私が好きで、理念を乗せるツールのひとつになったのがクッキーだっただけ。日本でも3月に食事メニューを提供する新店をオープンしましたが、アメリカでも幅広く展開していくつもりです」