「当社はコンプライアンスを徹底しているが、誰もがそうではない」とモアベリーは話す。
1年前、ロシアのウクライナ侵攻を受けて米国と欧州が初めて経済制裁を行ったとき、航空専門家は徐々に減少する航空機を維持するために機体を解体して利用可能な部品を使うため、ロシアの航空会社は減るだろうと予想した。しかし、圧力を受けている兆候があるにもかかわらず、ロシアの航空会社は広大な国土を横断する飛行機を維持するのに十分な部品を調達し、驚くほどの耐性を発揮してきた。ロシアは遠隔の地方を結ぶために空の移動に依存している。
ロシアの航空会社の国際線は制裁により激減しているが、国内の運航はこれまでどおりだ。データプロバイダーのOAGによると、国内線の輸送力を示す主要指標である座席キロは2月に前年同月比でわずか13%減。国内線の旅客数は約5万人増の650万人だったとロシア紙コメルサントは報じた。昨年4月の利用可能な座席キロは1年前より2%多かった。
確かに、ロシアの飛行機は安全性という点では信用できない。航空会社が闇市場や解体によって調達できていた部品は不足し、入手に時間がかかっていると整備・物流管理ソフトウェアを手がけるモスクワの企業RunAvia(ランアビア)の創業者アンドレイ・パトラコフは話す。そのためメンテナンスの間隔が延び、バックアップが機能する限り、あるいは必要最低限のシステムが作動する限り、壊れた部品で飛行機は飛ぶことになる。
「予想していたよりもずいぶんいい状況だが、同時に安全上のリスクも高まっている」とパトラコフはいう。