新しい機体は信頼性が高いかもしれないが、エアバスA320neoやA350のような最新の機体は部品がメーカーから直接届く仕組みのため、入手が困難という別の問題を抱える。英国の航空ソフトウェア会社TrustFlight(トラストフライト)の創業者カール・スティーブスは「ボーイングとエアバスがソフトウェアの更新や製品サポートを打ち切り、ロシアはソフトウェアが高度なために故障が発生しても修理するのは難しくなっている」と指摘する。
ロシア連邦航空局は現在、外国の航空機のメンテナンス方法に関するガイドラインを作成しようとしている。これまでは欧米の規制当局に任せていた部分だ。また、エンジニアリングや設計の詳細を知ることなく、代替部品を認証しようとしている。タイヤのような単純なものならまだしも、エンジンの精密部品の製造は非常に難しいとパトラコフはいう。
エンジンはロシアの航空会社がぶつかる「超え難い障壁」かもしれないとモアベリーはいう。その大きさゆえ、エンジン全体を闇市場で入手することは容易ではなく、メンテナンスは通常メーカーか、部品の多くをメーカーから直接入手するごく一部の公認ショップが行う。
「この戦争が5年続けば、ロシアは西側諸国製の民間航空機を飛ばせなくなるだろう。エンジンは傷むものだからだ」とモアベリーは指摘する。
現地の報道によると、昨年はロシアの航空会社9社が運航を停止し、そのうち4社は耐空証明を取り消された。コストがかさみ、収入が落ち込む中で、さらに多くの航空会社の運営がたち行かなくなるとパトラコフみている。時間が経つにつれて信頼性や安全性はますます落ちるだろうとも指摘する。
そしてパトラコフはこう続けた。「航空機は安全だということはできる。自分自身や人々に嘘をつくことはできる。しかし、飛行の物理を覆すことはできない」
(forbes.com 原文)