経営・戦略

2023.03.25 15:30

英ハロッズの飲食事業、「目的地化」戦略で急回復

そうしたレストランの1つとしてサクストンが例に挙げているのは、最上階にあり、テラス席からロンドンの街並みを見渡せる「ストゥディオ・フランツェン(Studio Frantzen)」だ。

実店舗が顧客を取り戻す「カギ」

ミシュランの星を獲得したスウェーデンのレストランを目当てに来店する地元の富裕層の顧客に、ハロッズ・ブランドについてさらに深く知ってもらうための入り口になっているという。

ハロッズに入居する飲食店の総数は、ロンドンと国外の店舗を合わせて45になる。これには、上海、カタール、バンコクなどの繁華街や空港のターミナル内に出店しているハロッズのティールームも含まれる。

ハロッズがサクストンの指揮の下、本格的に飲食事業を強化し始めたのは、わずか3年半ほど前だ。サクストンは同部門の現状について、次のように語っている。

「人々を『ドット・コム』から引き離し、小売店に呼び込むために重要なのは現在、製品よりも体験になっています。私たちは飲食事業を通じて、来店客数を増やそうとしています」

一方、ラグジュアリーブランドをはじめとする高級品の分野でも、人々の心をつかんでいるのは「食」だという。ディオールはそのファッションの世界への入り口として、ハロッズ店内に「ディオール・カフェ(Dior cafe)」をオープン。フェンディもカタールのハマド国際空港に、カフェを開設している。

サクストンは、次のようにも述べている。

「飲食事業が主導する体験の提供には、大きな需要があります。ディオール・カフェには開業初日からの4日間に、1万件近い予約が入りました」

「Z世代に何にお金を使いたいか尋ねてみると、多い答えは高級品、ファッション、そして食、です。これらの組み合わせは、貴重なものです」

forbes.com 原文

編集=木内涼子

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