米下院エネルギー・商業委員会が公表した証言の原稿によると、周は米国で1億5000万人以上がTikTokを利用していると述べ、同アプリが「米国のミュージシャン、アーティスト、シェフ、その他多くの人々」にもたらした影響を強調する予定。また、10代を中心とした未成年のユーザーを保護するためのさまざまな取り組みについて説明し、TikTokは「これらの問題でのリーダー」であり「他のプラットフォームはTikTokが始めた保護を採用している」と述べる見通しだ。
さらに、米テック企業Oracle(オラクル)と提携した取り組み「プロジェクト・テキサス」の一環として、米ユーザーデータと国家安全保障上の利益を保護する計画も紹介。米ユーザーデータとTikTokの親会社である中国ByteDance(バイトダンス)との間のファイアウォール構築にすでに15億ドル(約200億円)以上を費やしており、米国のユーザーデータをOracleのサーバーに保管し、同社や独立監視機関がTikTokのデータ取り扱い、アルゴリズム、コンテンツモデレーションを監査できるようにしていると指摘する。
周は、TikTokの禁止が米国の中小企業と経済に「打撃」を与え、ソーシャルメディアの競争を低下させ「1億5000万人以上の米国人の声」を封じることになると主張する予定だ。また、TikTokに関する「誤解」にも触れ、TikTokは米国のユーザーデータを中国政府と共有したこともなければ、そのような要請を受けたこともないこと、そして同社は「そのような要請があったとしても受け入れない」と表明する見通し。
周によると、TikTokの世界ユーザー数に占める米国人の割合はわずか10%だが、米国人ユーザーの動画が総視聴数に占める割合は25%となっている。周はこれに先立つ21日、TikTokの米国ユーザーに向けたビデオメッセージで「あなたがTikTokのどこが好きなのかについて、選挙で選ばれた議員らに知ってほしいこと」をコメントで投稿するよう促していた。
米国のバイデン政権や議員は、TikTokの個人ユーザーデータの取り扱いや、親会社であるバイトダンスが中国政府とつながっている可能性について懸念を強めている。米連邦捜査局(FBI)のクリストファー・レイ長官は昨年、TikTokに関する安全保障上の懸念として「中国政府が数百万人のデータを収集するために使用し、影響力を発揮したり、数百万のデバイスのソフトウエアをコントロールしたりするために使用する」恐れがあると警告した。
フォーブスは先週、TikTokアプリから米国人ジャーナリストの位置情報などの個人データにアクセスしようとするバイトダンスの取り組みについて、FBIと司法省が捜査していると報じた。また、バイデン政権はTikTokのプロジェクト・テキサスの提案を拒否し、バイトダンスがTikTokの米国事業の分離に同意しない限り、同アプリを禁止する構えを見せているとも報じられている。
バイデン政権は先月、連邦政府機関に対し、携帯やパソコンなど政府支給の全デバイスを対象としたTikTok禁止令について、30日以内に順守を徹底するよう指示。他の欧米諸国も国家安全保障上の懸念からTikTok規制に動いており、カナダや欧州連合(EU)は政府職員のアプリ使用を禁止している。
(forbes.com 原文)