そこで、注目が集まるのが3月22日の、米国連邦公開市場委員会(FOMC)だ。米国の金融政策の方向性次第でこの後の相場の雰囲気は大きく変わるだろう。市場は「0.25%幅の利上げ」または「利上げを見送る」判断を期待しているが、果たしてマーケットに寄り添った内容になるのか──。
仮に利上げ停止が早まった場合は、米連邦準備理事会(FRB)がSVBの破綻を「重大と考えている」といったマイナスのメッセージになり兼ねないため、予断を許さない市場とのコミュニケーションとなる。
実体経済は底堅い
リーマン・ショックの教訓から、銀行は十分な自己資本を保有することをはじめ、さまざまな規制がかけられるようになり、同様の出来事が二度と起こらないよう金融システムを強化してきた。現在、銀行業界全体としては十分に健全な状態にあることから、過度に疑心暗鬼になる必要はない。
また、SVBに多くの預金を抱えていた、全米14位の資産規模を誇るファースト・リパブリック銀行も経営危機に陥っているが、バンク・オブ・アメリカなど米大手銀行11行が協力し合うという、異例の支援に乗り出している。
中堅銀行の信用不安が米国の金融システム全体に波及する事態を阻止するためだ。
大手11行が総額300億ドル(約4兆円)をファースト・リパブリックに預け入れるといった、これまでに類をみない支援策は、大手行が一枚岩になって金融業界を支えようとする姿勢を示している。
世界の政府、中央銀行、民間金融機関が、迅速な対応で、マーケットや国民の間でくすぶる金融不安を沈静化させるために奔走しているのは間違いない。
最後に、一つ言えるのは、足元の経済指標や企業業績を確認するに、米国も日本も「実体経済はしっかりしている」ということだ。ここの底堅さが、世界経済の一番の支えになっている。