UNDER 30

2023.03.17

起業の動機は「気候変動への危機感」 30歳未満のヨーロッパ起業家リスト

GUERIN BLASK FOR FORBES

炭素排出量。崩壊した食料システム。情報へのアクセス不足。これらが、Forbesのソーシャル・インパクト・リストたちが取り組んでいる多くの問題の一部だ。

2018年夏、国連からの報告書は、人間の影響が地球を温暖化させる原因であることは「明白」であり、気候変動のいくつかの形態が数世紀にわたって起こると述べた。アントニオ・グテーレス国連事務総長は、この報告書を「人類にとってのコード・レッド」と表現した。

アリーシャ・フレドリクソン(28)にとって、この瞬間、すべてが確信に変わった。「気候が、衝撃的なほど短い期間内に世界中のすべての人に影響を及ぼす、非常に大きな問題であることが明らかになったのです」と、フレドリクソンは振り返る。

「その報告書のタイムフレームの短さが、私に何ができるかを考えさせるきっかけになりました」。

フレドリクソンは、共同創業者のルージア・ウェン(27)と共に、ロンドンに拠点を置くSeabound(シーバウンド)の設立に着手し、船舶用の炭素回収装置を開発している。欧州委員会によると、商業船舶は、世界の温室効果ガス排出量の3%を占めており、依然として最大の排出削減が困難な産業の一つだ。

Seaboundの技術は、船に直接取り付け、排気ガスから炭素を引き出す。この炭素は船内に保管され、港に運ばれて、地下に永久に保管されるか、燃料などの新製品に組み込まれる。

投資家から450万ドル(約6億円)の資金を得たフレドリクソンとウェンは、最先端のイノベーションを駆使して変化をもたらす、2023年Forbes「30 Under 30」ヨーロッパ・ソーシャル・インパクト・リストに加わった。何百もの推薦を受けた今年のリストは、4人の審査員によって採点・選出さた。

アムネスティ・インターナショナルの国際理事会議長であるアンジュラ・ミーヤ・シン・ベイス博士、医療に特化したノボ・ノルディスク財団(Novo Nordisk)のイノベーション担当上級副社長のミケル・スコフボーグ、ベンチャーキャピタル企業バルダートン(Balderton)のインパクトおよび持続可能な未来目標担当のエロディ・ブロード、難民支援非営利団体レフエイド(RefuAid)の共同創設者でUnder30 Europe 2019のアナ・ジョーンズだ。
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翻訳=上西雄太

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