UNDER 30

2023.03.17

起業の動機は「気候変動への危機感」 30歳未満のヨーロッパ起業家リスト

GUERIN BLASK FOR FORBES

気候は今年の創業者たちの主要なテーマであり続けているが、アプローチは教育から電化まで様々だ。アリス・エイディ(28)、フィン・ハリーズ(29)、ジャック・ハリーズ(29)は、ドキュメンタリー映画監督とデザイナーとしての専門知識を生かし、気候危機の教育を目指す学際的なクリエイティブスタジオ、Earthrise Studio(アースライズ・スタジオ)を設立した。

ロンドンを拠点とする彼らの革新的なストーリーテリングのアプローチは、デイビッド・アッテンボロー、ジェーン・グドール、バラク・オバマとのコラボレーションを実現させた。彼らのビデオは7000万人以上に届き、350万人のフォロワーは今もなお増え続けている。

パリでは、ジミー(Jimmy)の共同設立者であるアントワーヌ・ギヨ(29)とマチルド・グリヴェ(29)が、製造業の産業プロセスで使用する熱を核分裂で作り出す熱発電機を建設・運営している。1台の原子炉が40万トンの炭素を防ぎ、生成される熱は天然ガスから生成されるものより安価だ。同社は2130万ドル(約28億6000万円)を調達している。

また、食料システムの取り組みもある。ハムザ・カドゥーミ(29)は、商業用屋内農場向けの作物モニタリング・システムを開発するために100万ドル(1億3500万円)を調達した。ストックホルムに拠点を置く彼の会社EcoBloom(エコブルーム)は、種まきから収穫までの食品生産プロセスを監視・制御し、手作業を必要としないため、農家は世界のどこからでもボタンを押すだけで農場を管理できるようになる。

物事をより良く変えようとする多くの起業家と同様、創業者アレッサンドロ・ロマーノのアイデアも、個人的な経験に基づくものだ。2020年、ローマに住む彼は、40日間にわたる双胴船の一人旅で、乱獲がもたらす壊滅的な影響を目の当たりにした。

生物多様性が大きく減少する一方で、網はイワシやシルバーフィッシュを取るために海をさらい上げ続けていた。その後まもなく、ロマーノは、養殖用飼料の持続可能な代替品を開発するバイオテクノロジー・スタートアップ、イッティンセクト(Ittinsect)を立ち上げた。

彼の養殖魚や植物用の飼料は、原料の8倍の生物学的利用能を持ち、その結果、魚の成長が15%向上し、腸の健康状態も全体的に改善された。ロマーノのチームが生産する1万トンの飼料は、1万トンの農業副産物をアップサイクルし、養殖バリューチェーンから1万7000トンの炭素排出を削減し、海から3億単位の魚を漁る必要性を代替することができる。

forbes.com 原文

翻訳=上西雄太

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