実に1年以上もの構想期間を経た手作りのプロジェクトが、今年11月29日、遂に甲子園球場で、開催されることが決定した。元・高校球児の現役大学生を中心とした有志7人が企画&運営する、野球に賭ける熱い思い。失われた空白の2年間を取り戻す為に錯綜したドキュメンタリーをリポートする。
現役大学生が甲子園を開催する理由
甲子園球場で開催される「あの夏を取り戻せ 全国元高校球児 野球大会 2020-2023」を企画立案したのは、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部の現役大学生、大武優斗。現在20歳で同大学2年生として在籍する大武がこのプロジェクトに立ち上がったのには、自身の12年間にわたる野球に懸ける思いと挫折、そして起業家を目指すようになった紆余曲折したストーリーがあった。
二人三脚で歩んできた「父の夢」と「仲間へのメッセージ」
大武が、甲子園にこだわるには理由がある。妹も弟もプロ野球選手やプロサッカー選手を目指し、かつて父親は、甲子園出場を夢に掲げていた野球少年という、スポーツ一家で育った環境。幼い頃から「お父さんは、甲子園出場が叶わなかった。だから優斗には甲子園に出場して活躍してもらいたい」と言われ続けてきたという。大武が7歳を迎えるないなや、地元・板橋区のチームに入団し、野球を始めた。「その日から11年間、僕と父は二人三脚で、ずっと甲子園出場の夢を追いかけてきました。休日は、暇さえあれば、父とキャッチボールをする強化練習。次第に、子供心にも甲子園出場への闘志の炎を燃やし続けていたのです」。
高校は、スポーツ推薦で第一希望校へ進学。午前中は授業、午後は、みっちり野球の練習に明け暮れる日々を過ごしていた。「一時は、ハードな練習がたたって、膝の怪我でスタメンから外れた時期もありましたが、高校2年の冬には、スタメン復帰に返り咲く事が出来ました」。