今回は、「Forbes JAPAN」が選出する、2019年版「日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング」で第1位に選ばれたグロービス・キャピタル・パートナーズ (GCP) 代表パートナーを務める高宮慎一さんをお招きして、日本企業がWeb3ビジネスの立ち上げを考える上で知っておくべきことついて議論した。
吉川絵美(以下、吉川):前編では日本企業がWeb3ビジネスを考えていく上で、「Web3ビジネスマトリックス」という考え方のもと、「コンセプト」と「実装」の両軸で、マーケットのニーズをもとに組み合わせを考えていくことの重要性について議論しました。
高宮慎一(以下、高宮):Web2かWeb3のバイナリな選択ではなくて、マーケット・イン的発想で最適解を模索していくことがマスアダプションを実現する過程で重要なんですよね。
吉川:今後、日本でWeb3のビジネスがメインストリームに突入する際に、その主役はスタートアップになると思いますか、それとも大企業だと思いますか?
高宮:これはスタートアップか大企業かという問題というより、どちらであっても、結局はユーザーのニーズに最適化した実装のサービスを提供できるかどうかではないかなと思います。そのサービスは、本当にWeb3で実装する必要があるのかどうか、すなわちWeb3であることがユーザーへの価値を向上するという必然性やメリットがあるのかどうか、という。
吉川:現在、日本の多くの大企業がWeb3に対してFOMO(取り残されることへの恐れ:Fear of Missing Out)を感じており、とりあえずWeb3戦略プロジェクトを立ち上げてみようという機運になっています。
経営陣からとりあえずWeb3勉強しろ、ビジネス考えてみろと言われて奔走している新規事業部門やイノベーション部門の方々にもよくお会いします。とはいえ、既存ビジネスと「Web3的なもの」の間のギャップに悩む担当者も少なくありません。彼らに対して何かアドバイスはありますか?
高宮:大企業だからこそ大きな既存ビジネスがあるので、そこで顧客がいったいどんな問題を抱えているかを今一度深掘りしてマーケットインサイトを得ることが重要だと思います。