複業で関わっているプロジェクトが、同じようにゆるい組織形態となると、DAO(分散型自律組織)的なものに進化していき、Web3的に働く人たちが増えていくかもしれないですね。そこからWeb3的なスキルを身につけていく機会もたくさんでてくると思います。
吉川:いきなり大企業を飛び出して、Web3にフルベット、というようなバイナリ的なキャリアチェンジではなく、今の環境の中でも、副業などを通してWeb3的なスキルや働き方を徐々に身につけられるということですね。
一方で、トークンを活用するWeb3スタートアップの起業家は、日本の税制の問題で海外に出ざるを得ず、Web3人材が海外に流出している現状があります。政府は急ピッチで税制の問題を解決しようとしていますが、私は現在の人材の海外流出は長期的にみると、ある意味日本にとっていいことではないかと思います。
日本の若者は海外志向ではなくなったと言われて久しいですが、今Web3においては海外に出ざるを得ない環境にあるわけで、これによって、優秀な若者がシンガポールやドバイなどで世界を経験して、世界と戦うスキルを磨いているわけです。こういう若者たちがゆくゆくは日本に戻ってきて、日本のWeb3業界の更なる成長に寄与していくといいなと思います。
一つのアナロジーとして「海亀族」があります。ここ数十年の間に多数の中国人がアメリカの大学に留学しましたが、彼らは卒業後そのままシリコンバレーなどでしばらく働いてスキルを身につけたのち、母国に戻って中国のテック業界の急成長の起爆剤となった経緯があります。
彼らは、海外から古巣に出戻るという意味で「海亀族」と言われていますが、同様に日本でも、世界で戦った起業家たちが海亀族として日本に出戻って、今後の日本のWeb3業界の起爆剤になるといいなと思います。もちろんそれが遅過ぎてはいけませんが!
高宮:Web3は「Global from Day 1」と言われているように、初めからグローバルなビジネスなので、初めから世界を意識することは重要ですね。その意味で若者たちにはWeb3の黎明期の今こそ世界に飛び出して世界を見てほしいですね。