都内進学校に100台のガシャポン機! バンダイと仕掛けた「卒おめ大作戦」

3年間の学生生活のすべてをコロナ禍下で過ごした彼女たちに、卒業の日、大きなサプライズが──

今年の中学・高校卒業生の入学年はコロナ初年度だった。すなわち、彼らの3年間はまさに「コロナ一色」だったと言っていい。

玩具、菓子、衣料、日用品などのメーカー、バンダイが3月10日、東京都品川区青稜中学・高等学校と協力し、同校の卒業式当日に、そんな高校卒業生へのとてつもないプレゼントを企画実装した。卒業式後、最後のホームルームの間に生徒に内緒で、100個にも及ぶガシャポン自販機を設置したのだ。

カプセルからは、青稜高等学校の校舎や制服、生徒手帳、生徒たちの空腹の友だった近所のパン屋など、高校生活の記憶を象徴する20 種類のアクリルチャームか出てくる。チャームはすべて、この日のためのオリジナルデザインだ。

※自販機で販売されるカプセルトイは「ガチャガチャ」などと呼ばれることが多いが、「ガシャポン」はバンダイ製カプセルトイの登録商標である。


ガラガラと、あっという間に「100台のガシャポン機」が──

3月10日。筆者は東京都品川区青稜中学・高等学校を訪れた。卒業式を見学し、同校の名物でもある、光溢れる吹き抜けの広場(アトリウム)で待機していると、左手から「ガラガラ」という音が。スタッフらが、100台のガシャポン機を搬入し始めたのだ。あらかじめレイアウトされた位置と向きに着々と配置されていく様は壮観である。

卒業式後、ガラガラとガシャポン機が搬入されてきた

卒業式後、ガラガラとガシャポン機が搬入されてきた


さらに待機すること数十分。担任の先生との最後のホームルームを終え、小さなブーケを手に手に、卒業生たちがアトリウムに降りて来る。小さな歓声を上げながら、2人ずつ、3人ずつと、ガシャポン機の前へ。あっという間に1つ、また1つとカプセルが彼らの手の中に溢れ出す。



卒業生たちに、「本当にサプライズだったのか?」と聞いてみると──。

「まったく知らなかった。今ホームルームで先生から聞いた」が大部分の答え。1名のみ、「朝、先生から、今日はガシャポンがあるよーと聞いていた。でもこんなにたくさん、しかもオリジナルのチャームだなんて知らなかった!」と答えてくれた。

また、「どこにつける? どう使う?」を聞くと、「部屋に飾りますね。バッグにつけたりしてなくすといやなんで」という答えが多かった。

そして、「ふたばちゃん(青稜中学高等学校のマスコットキャラクター)が取れるまでやりたい!」という子や──。

「ふたばちゃん(青稜中学高等学校のマスコットキャラクター)が取れるまでやりたい!」



「地方の大学に合格して親元を離れるので、懐かしい学校生活の思い出を一人暮らしの部屋に置けるのが本当に安心です」という男子生徒も。

「ふたばちゃん(青稜中学高等学校のマスコットキャラクター)が取れるまでやりたい!」

しかし、一体バンダイはなぜ、すべてのコストを負担して「高校に100台のガシャポン機を設置、卒業生に無料でプレゼント」を企画、実装したのか?


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文=石井節子

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