メルセデスと提携拡大のLiDARメーカー「ルミナー」の躍進

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メルセデス・ベンツは、LiDARメーカー「ルミナー(Luminar)」との提携を公表してから1年余りで、複数の生産プログラムを含む提携の大幅拡大を発表した。同社は、2月にカリフォルニア州サニーベールにある北米R&Dセンターでオペレーティング・システムの戦略発表イベントを開催し、その中でルミナーとの提携拡大を明らかにした。

ルミナーは現在、開発プログラム向けの「Hydra」と、より小型化された量産モデル「Iris」という2種類のLiDARを提供している。メルセデスが採用するIrisの次世代モデルは、現行製品よりもさらに小型化が進み、フロントガラス上部に設置しても、従来に比べて目立たないことが期待される。

ルミナーは、次世代センサーの製造台数を拡大しながら利益を確保するために、コスト削減に重点を置くことが予想される。現行製品の価格は1000ドルと推定されている。2022年にフォルクスワーゲングループから最大40億ドル(約5450億円)規模の契約を獲得したイスラエルのInnovizは、次世代センサー「InnovizTwo」の価格を500ドル以下に設定する計画であり、ルミナーも同じ水準を目指していると思われる。

ルミナーのIrisセンサーを最初に搭載したのは、上海汽車集団(SAIC)傘下の飛凡汽車(Feifan Auto)のセダン「R7」で、2022年10月に生産を開始した。2023年には、同型のセンサーがボルボの新型EV「EX90」に標準装備されるほか、ボルボのポールスターのEV版「ポールスター3」にも搭載される予定だ。

現状のプログラムでは、ルミナーの生産量は比較的少ないものの、ボルボとポールスターが同じアーキテクチャの次世代EVにLiDARを標準装備すれば、大幅に拡大する可能性がある。メルセデスとのプログラムでは、取引額が数十億ドル規模に達すると推定されている。
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編集=上田裕資

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