ボルマゲドンとは? 記録的なオプション取引で再び株価暴落の危険性

ニューヨーク証券取引所(Getty Images)

最近、ゼロデイオプションという投資方法の人気が急上昇している。株式市場のボラティリティを利用することで、リスクの高い短期的な賭けをする投資家によって再び注目されているからだ。しかし、JPモルガンのアナリストは、この方法がS&P500に大きな損失をもたらす可能性があると警告している。

ゼロデイオプション(しばしば0DTE[0 day to expiry]とも呼ばれる)とは、購入から24時間以内に満期を迎えるプット(売り)もしくはコール(買い)オプションのことだ。日中の大幅な価格の変動のおかげで、しばしば大きな利益を見込むことができる。

JPモルガンの調査によると、毎日およそ1兆ドル(約136兆7000億円)分の0DTEオプションが買われているという、

JPモルガンのストラテジスト、マルコ・コラノビッチは先月、2018年2月にもこうした短期オプション取引が急増してS&Pが4%の下落を招いた例を挙げながら、ボラティリティとハルマゲドンの合成語である「ボルマゲドン2.0」が起きる可能性を指摘した。

今回は、その影響がさらにひどくなる可能性がある。JPモルガンのペン・チェンは月曜日に公開したメモで、メモS&Pが日中5%下落した場合には、0DTEオプションの売りが300億ドルに達し、S&Pをさらに20%押し下げる可能性があると書いている。

コラノビッチは、0DTEオプション取引の急増が、2018年に匹敵する株価暴落を招きかねないことについて「歴史は繰り返さないが、しばしば韻を踏む」と警告した。

一方バンク・オブ・アメリカのアナリストは、0DTEオプションの持つ潜在的な影響について、先週のメモで、この取引はたまたま1日だけの変動に一方的に賭けるだけの普通の取引よりも「よりバランスがとれ(そして)複雑な」取引であると反論している。

ゼロデイオプションのメリットはともかく、市場が日中に大きく動きやすくなっていることは間違いない。S&Pが1%以上下落または上昇したのは、今年に入ってからは20回におよんでいるが、10年前の同じ時期にはわずか7回だったのだ。チェンによると、個人投資家がオプション購入の人気を後押ししたとはいえ、S&Pのオプション取引の約95%が機関投資家によるもので、0DTEオプションの流行はウォール街が中心だ。

ゴールドマン・サックスの分析によると、先週月曜日までの3カ月間の中で、0DTEの人気が最もあったのは、労働省が月例雇用統計を発表した2月3日だ。この日は通常株価株価に大きな影響を与える。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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