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2023.03.11

STEM分野の女性リーダーを増やす方法

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STEM分野の労働人口にジェンダー・ギャップがあるように、特許取得活動にも男女間での格差が存在します。

女性の特許取得活動が活発になれば、仕事への満足度や人員定着率が向上し、女性がSTEM分野のリーダーになるチャンスも増えます。

いくつかの特許申請企業では、特許取得のジェンダー・ギャップ解消に取り組んでいます。次の最も重要なステップは、議論を始めることです。本題について世界経済フォーラム(WEF)のアジェンダからご紹介します。


新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は、STEM(科学、技術、工学、数学)分野の女性にどのような影響を与えたのでしょうか。

パンデミックによる女性への影響に関する調査では特に取り上げられていませんが、パンデミック前よりSTEM分野の労働人口におけるジェンダー・ギャップが拡大したことに、その影響が現れている可能性があります。

STEM分野の労働人口にみられるジェンダー・ギャップは、特許取得活動にも存在します。

世界知的所有権機関(WIPO)のIntellectual Property(IP)Statistics Data Center(知的所有権(IP)統計データセンター)によると、2020年に特許協力条約(Patent Cooperation Treaty、PCT)下で特許を出願した発明者全体のうち、女性が占める割合は16%でした。

これに対し、少なくとも一人の女性発明者が参加しているPCT下の出願は、2020年において32%とより高くなっています。とはいえ、この数字は、女性発明者が加わっていないPCT出願がなお3分の2を上回ることを示しています。

特許出願をSTEM分野の労働人口にみられるジェンダー・ギャップ解消に役立てることは、組織だけではなく、女性にもメリットがあります。STEM分野のジェンダー・ギャップは労働者数にとどまりません。STEM分野の女性は、給与や地位の面でも男性に後れを取っているのです。

特許取得活動に対する女性の参加が増えれば、女性の間で仕事への満足度や人員定着率が向上し、STEM分野において女性がリーダーに昇進するチャンスが拡大することが見込まれます。ひいては、女性の収入増加にもつながるでしょう。
 
女性発明者が一人以上いる特許出願の割合 Image: WIPO IP Statistics Data Center

女性発明者が一人以上いる特許出願の割合 Image: WIPO IP Statistics Data Center


課題は女性発明者の少なさ

ウエスタンデジタル(Western Digital)社が数年前に特許プログラムについて分析を行ったところ、女性は技術スタッフの21%を占めているにも関わらず、発明者に占める割合は11%に留まっていることがわかりました。当社の自主退職者の離職率は当時10.7%で、業界平均の13%を下回っており、男女差はありませんでした。

イノベーションプロセスへの女性参加を抑制している要因を突き止めるため、当社が調査を実施したところ、女性は発明が完璧でなければ特許を取得できないと考える傾向にあることが明らかになりました。つまり、完璧でなくても特許明細書の提出は可能だということを認識すれば、女性の特許活動への参加が増える可能性があるのです。
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文=Cynthia Tregillis, Senior Vice-President and Deputy General Counsel, Western Digital ; Sabra Truesdale, Associate General Counsel, Western Digital

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