正直に答えると、最高に楽しいです。職業が変わっただけで自分が目指しているところは変わってないので、毎日熱量を込めて生きられています。
ただ、もう一人自分が欲しいですね(笑)。実務がまだまだ追いついていないので、もっと時間が欲しいと思う部分もあるし、できたらバスケを楽しむ時間も欲しい。とりあえず、今はヘラルボニーの一員として、仕事に全力投球したいと思っています。
──へラルボニーのメンバーとして、今後の目標はありますか?
個人的には、子どもたちが障がいのある人たちと接点を持てるような機会をもっとつくりたいと思っています。
現在も建設現場の仮囲いに作品を転用する「全日本仮囲いアートミュージアム」のような事業を行っていますが、幼い時から多様性を実感できる場を持つことで、10年後、20年後に彼らが時代のリーダーとなって、より良い社会を構築していってくれるのではないかと期待しています。
自分とは違う生き方をしている人に「素敵だね」と言い合えるような社会になって、もっともっと生きやすくなってほしいですね。
あとは、先ほどのスポーツと福祉の関係を深めることも僕の使命のひとつだと思うので、多くの方にお力添えをいただけたら嬉しいです。
大学卒業後、Bリーグ発足を目の当たりにして自らの選択を悔いたという伊藤さんも、人生の目的を見つけてからは、その実現に向けて一歩ずつ着実にステージを登り続けている。
おそらく、伊藤さんにとって現役引退はセカンドキャリアのスタート地点ではなく、人生の通過地点にすぎないのだろう。
誰でも挑戦できる公平な社会をつくるためにヘラルボニーの一員となった伊藤さんの今後に期待が高まる。