2023年、米国ライブショッピングの10大トレンド

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5. インセンティブが売上を伸ばす
割引やプレゼントなどのインセンティブは、緊張感を与えることで新たな視聴者を惹きつけるため、ライブストリーミングキャンペーンの定番となっています。当社のデータでも、この方法が効果的であることが証明されており、ライブストリーム視聴者の36%が「製品のプレゼントや抽選への参加」を、ライブストリームを視聴する理由の上位に挙げており、このことは、参加特典や限定特典に対する消費者の強い期待を示しています(図8)。

この結果は、ライブストリーミングに関わる5つの要因の影響に関する当社のB2B調査分析(図12)の結果とも一致しています。企業の回答者は、ライブストリーミングイベントを成功させるための重要な要素として、インセンティブを2番目に挙げているのです。

図8. 米国のライブストリーミング視聴者がライブストリーミング中に行ったことがあること(回答者の割合)

(図内の訳、コメント「製品のプレゼントや抽選への参加は、ライブストリームを視聴する理由の上位に挙げられている」 選択肢上から「製品プレゼントや抽選への参加」「ソーシャルメディアでブランドや主催企業をフォローする」「主催者へ質問する」「ライブショッピング番組終了後に製品を購入する」「主催からおすすめされた商品の購入」「イベントを友人へシェアまたは勧める」「ライブショッピング開催中に製品を購入する」) 対象:過去3ヶ月以内に買い物可能なライブストリームを視聴したことがある18歳以上の米国人回答者510名(2022年12月20日調査) 出典:Coresight Research

消費者が求めるコンテンツへの転換

6. ライブストリームショッピングが新たな業種にも拡大
当社のB2Bおよび消費者を対象とした調査では、幅広い分野の小売企業でライブストリーミングEコマースが採用されていることが明らかになりました。過去数ヶ月で、ホームセンターと食料品分野においてライブストリームを通じた消費者支出が増加しており、これは消費者が高額商品や日用品を含む幅広い商品を、ライブストリーミングを通じて購入することに前向きであることを示しています。

当社のB2B調査によると、ホームセンター分野企業の41%が過去6~12ヶ月の間にライブストリーミングチャンネルを利用し、調査対象の食料品企業の23%が同期間にライブストリーミングチャンネルを利用しています(図9参照)。

図9. 小売企業が販売または販促チャンネルとしてライブストリーミングを利用している期間(分野別、回答者の割合)


(図内の訳、コメント「ホームセンターと食料品分野においてライブストリームの採用が増加している」 回答者、左から「アパレル」「美容品」「ホームセンター」「ラグジュアリー品」「食料品」「家電製品」「一般用品」 選択肢、左から「6か月以内」「6~12か月」「1~2年」「2年以上」) 対象:現在ライブ配信を販売やプロモーションのチャンネルとして利用している企業220社(2022年6月調査) 出典:Coresight Research


また、2つの調査を比較すると、それぞれの調査の前の3ヶ月間に、ホームセンターのライブストリームを視聴したと回答した視聴者の数は、5ポイント増加しています(図10参照)。

図10. 米国ライブストリーム視聴者が過去3ヶ月にライブストリーミングで視聴した製品カテゴリー(回答者の割合)


(図内の訳、コメント「ホームセンターと食料品分野においてライブストリームの採用が増加している」 回答者、左から「アパレル」「美容品」「ホームセンター」「ラグジュアリー品」「食料品」「家電製品」「一般用品」 選択肢、左から「6か月以内」「6~12か月」「1~2年」「2年以上」) 対象:現在ライブ配信を販売やプロモーションのチャンネルとして利用している企業220社(2022年6月調査) 出典:Coresight Research


7. ライブストリームはより教育的なコンテンツを提供するようになる
割引や特典に加え、当社のB2Bおよび消費者を対象とした調査では、ライブストリーミング中に視聴者へ教育的な内容を届けることが、オンライン視聴率と参加率を高める鍵となることが明らかになりました。ライブストリーミングイベントの成功に影響を与える5つの重要な要素(製品教育、話題、特典、フォーマット、エンターテインメント性)のうち、製品教育は、ランク1または2(影響度が高い)とランク4または5(影響度が低い)のランク付けの中で8PPTという最大のプラス差を示しました(図11参照)。

図11. 小売企業がライブ配信時に考慮すべき5つの要素が視聴者に与える影響度の認識度(回答者の割合)

(図内の訳、コメント「小売企業はライブストリーミングにおいて教育的なコンテンツが最も視聴者に影響があるとしている」 選択肢上から「製品教育」「話題」「特典」「フォーマット」「エンターテインメント性」) ※回答者は、自社の顧客に与える影響力の大きさに応じて、ランク1(影響度が高い)からランク5(影響度が低い)までの要素をランク付けしている。 対象:現在ライブ配信を販売やプロモーションのチャンネルとして利用している企業220社(2022年6月調査)出典:Coresight Research


図12に示すように、企業は、「新しい製品の発見」や「より多くの製品情報を得たい」など、消費者がショッピング可能なライブストリームを視聴する理由に応えようとしています。そのために、知識豊富なホストを起用し、視聴者を引き付けて有機的に関わり、最終的には、製品の購入やブランドのストーリーを受け入れるといったアクションにつなげることが必要でしょう。

図12. ライブストリームの視聴者が過去3か月に買い物可能なライブストリームを視聴した理由(回答者の割合)


(図内の訳、コメント「消費者はライブストリーム視聴中に、購入を刺激する情報や製品情報を求めている」 選択肢上から「お得な購入条件を見つけるため」「新製品やサービスを見つけるため」「すでに知っている製品やサービスをより詳しく知るため」「好きなブランドだから」「何か新しいものを見つけるため」「製品やサービスの新しい使い方を知るため」「先行販売や限定品の購入のため」「暇つぶし」「ホストや有名人を見るため」「似たような趣向をもつ消費者とつながるため」) 対象:過去3ヶ月以内に買い物可能なライブストリームを視聴したことがある18歳以上の米国人回答者510名(2022年12月20日調査) 出典:Coresight Research


8. 透明性に対する消費者の要求の高まり
消費者やその他のステークホルダーは、製造における持続可能性から従業員配置における包括性まで、多くの事業領域で小売企業に対して透明性を求めるようになってきています。そのため、ブランドや小売企業は、ライブストリーミングを利用して、そうした透明性を提供することで、消費者の信頼を獲得し、販売を促進することができるでしょう。

最新の消費者調査では、回答者のほぼ半数(47%)が、今後ライブストリームで専門家の意見やユーザーの声をより多く視聴できることを期待しており(図13)、信頼できるソースから製品やブランドの情報を得ることを期待しています。また、視聴者の約2割は、今後製品の意外な使い方やハック方法、製造工程などを見ることを期待しており、多くの消費者が購入前に製品の仕組みや作られ方を確認したいと考えていることが分かります。

図13. 米国のライブストリーム視聴者が今後期待するライブストリームコンテンツ(回答者の割合)

(図内の訳、コメント「消費者が期待する透明性に応えることができているのは、専門家の意見とユーザーレビューの二つのみ」選択肢上から「専門家の意見」「購入者の実体験や製品レビュー」「意外な使い方やハック方法」「製品の製造工程」「店内ツアー」「現場従業員のインタビュー」「経営者インタビュー」)対象:過去3ヶ月以内に買い物可能なライブストリームを視聴したことがある18歳以上の米国人回答者510名(2022年12月20日調査)出典:Coresight Research

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