プロのマジシャンに学ぶ「ブランド体験の作り方」

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──ブランドは消費者を楽しませる方法を模索していますが、マジックのアートと理論から学べることはあるのでしょうか?

どんな職業でも、世界をもう少しマジックのように見ることができれば、有益さを手に入れられると思います。10歳の自分のような考え方をすることで、その特別な場所を見つけることができます。迷わず夢を見ることと、すべてを完全には知らないという素朴さを持つのです。

良いマジックが始まると、観客はどのような結末になるのかわからないまま、不思議な物語の中に誘われます。それが終わったとき、驚きが生まれす。しかもそれは、最初からあなたの目の前にあったものなのです。最高のキャンペーンやバイラルビデオ、プロダクトローンチには、常にこの強い謎の感覚と、斬新さや驚きが含まれていると思います。

──その考えをどのようにご自身のビジネスに取り入れたのでしょうか?

ニューヨーク(The NoMad Hotelと現在のFotografiska New York)で初めて人前でのショーを始めたとき、意図的にできるだけ情報を公開しないようにしました。特にNYでは、観客には「自分で何かを見つけたい」「知っておきたい」という憧れがあることがわかっていたので、その気持ちを育みたかったのです。ブランディングも広告も、すべて超ミステリアスなものにしました。

実際にショーに参加された方々は、マジカルでクールでありながら、楽しくて軽快な体験に驚かれたようです。オンラインのバーチャルショーでは、クールなものが詰まった美しい箱を観客に送ることで、1人1人が自分の手の中で魔法を体験できるというアイデアに取り憑かれました。本当に長い時間がかかりましたが、 theory11(セオリー11)のパートナーたちとの共同作業で、ようやくそのようなショーを作ることができました。

そのようなかたちでみんながマジックが楽しめるかどうかはわかりませんでしたが、マジックを楽しむための大原則を採用したところ、見事に成功したのです。世界中から多くのすばらしいゲストが参加するThe Magician Onlineが、これまで制作されたチケット制のオンラインショーの中で最も長く続いていることを、私たちは大変誇りに感じています。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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