パンデミック中の死者数の増加は世界の平均寿命に大きな影響を与えた。世界の平均寿命が2年連続で縮んだのは1959年以来で、2022年に再び低下すれば現代史において前代未聞の事態となる。
国レベルでみると、多くの国で平均寿命が大幅に縮小した。2019年から2021年にかけて中南米の5カ国、欧州の3カ国の合計8カ国において平均寿命は毎年2歳以上(合わせて4歳)短くなったと推測されている。同期間中の各国の平均寿命の縮小幅はペルー5.6歳、グアテマラ4.8歳、パラグアイ4.7歳、ボリビア4.1歳、メキシコ4.0歳、ロシア4.3歳、ブルガリア4.1歳、北マケドニア共和国4.1歳となっている。
平均寿命がパンデミック前の水準に戻ったのは西欧州のひと握りの国で、フランス、ベルギー、スイス、スウェーデンだけだった。
豊かな国でも、特に米国では平均寿命の急激な縮小が続いている。パンデミック以前から米国の平均寿命は10年近く延び悩んでいた。2021年の米国人の平均寿命は76.1歳で、これは最長となった2014年の78.9歳から2.8歳短くなっている。平均寿命は現在、1996年の水準に戻っている。米国では肥満関連の疾患、薬物の過剰摂取、銃による死亡、交通事故、自殺など新型コロナ以外にも平均寿命が縮む要因はたくさんある。